「連日満員の新車の増備」には充てない、今回の近鉄の増資。

 鉄道セクターとして将来的に必ず、JRはもちろん京阪や阪急阪神共々「我が銘柄」に加えたい、「My故郷銘柄」でもある近鉄が、前場こそ閑散商いの中420円ラインスレスレで推移していた。そこへ、昼過ぎの日経CNBC『昼エクスプレス』での東証1部全銘柄の値動き&注目銘柄解説の最中、30円超下げて400円台を割ったと紹介していた。「昼休み中に公募増資を発表した」といい、12時22分配信の日経電子版&日経夕刊3面(総合2)に、84年以来29年ぶりに780億の増資をするという記事が出ていた。
 使途の内訳は、約500億が借入金返済、208億が大阪市阿倍野区の「あべのハルカス」という超高層複合ビルの建設資金、74億が車両改造などという。主幹事を野村等が務め、公募価格を9月4〜10日に決定し払い込みを11〜18日、というスケジュールでもって、発行済株式数が最大11%増の見込みになる。これが、こういう時お決まりの「株式数増に伴う株式価値の希薄化懸念」で、12時39分に一時37円安の386円まで売られ、引けは26円安まで戻して396円となった。

 僕的には今春3月21日にデビューした、大阪・名古屋から伊勢志摩までを一部水曜を除く毎日1往復ずつ結ぶ新型観光特急50000系6両編成『しまかぜ』の増備にも充ててもいいと思うが、そこまでの計画はなさそうだ。何しろ従来の特急料金に更に1000円前後の特別料金……さしずめJRのグリーンというか、東北新幹線E5系『はやぶさ』『はやて』(&一部『やまびこ』『なすの』)のグランクラスというか、そこまでのゴージャスな料金ながら連日予約が満員、いつ取れるかわからない盛況ぶりだという。なので「そんなケチ言わず、もう2編成増備して大阪・名古屋―伊勢志摩間を2往復にしてあげても……」と、もう早速儲け損なっている気がして非常に残念でならない(!)。

 そういえばここまで書いて思い出したが約1名、高校時分の鉄研部の同輩で、卒業後に見事第1希望の近鉄入社も果たした羨ましいヤツでもある人物がいる。後年、確か88年に名阪ノンストップ特急(当時)21000系アーバンライナーがデビューした頃、OBとして文化祭で再会した時のことだ。その年の鉄道友の会ブルーリボン賞を取るほど(当然今でも)人気車両のアーバンライナーがたった6両編成なのが不満で、「いい加減8両にならんか!?」と冗談交じりに、されど半分超は本気で「苦情」を(?)言ったことがある。ヤツはとある検車区の所属で文字通り車両の点検・整備が仕事なので、そんなことを言われても直接どうのこうの出来っこなかったが、「オレもせや思うてる(そうだと思ってる)」といった返事は貰えた覚えがある。しかしやがて見事「アーバン全車8両化」が実現し(!)、02年に増備用デビューの21020系アーバンライナーnext(ネクスト)も踏襲してくれて、一部編成が再度6両に減車されながらも現在に至っている。
 ヤツとは程なくして音信不通になってこれも現在に至っているが、次もし再会できたら「しまかぜも、(23000系伊勢志摩ライナーが94年のデビュー以降、ずっと6両でやってきた前例もあるし)8両にしろとまで言わんが、あと2編成増備できんか!?」とでも言えば、やがて実現するかもしれない……