「米FOMC要旨」VS「中国PMI」の“材料戦”(?)。

 昨日の欧米市場で英FTSEが相変わらず軟調引け(62.62ポイント安の6390.84)だったのはまだしも、NYダウが「7月30〜31日のFOMC議事要旨公表」の前後にジェットコースター的乱高下(?)を繰り広げ、105.44ドル安の1万4897.55ドルで引けた。要旨自体は、FOMCメンバーがおよそ真っ二つに「QE3縮小の賛否」が割れたということらしいが、それが千変万化の思惑を呼びまくったようだ。
 そしてそれを受けた今日の東証は、寄り付きこそ軟調で始まったが、10時45分発表の英金融大手HSBCによる、中国の8月製造業PMI(購買担当者景気指数)が50.1と発表されるや否や急速に値を戻した。ただ長くは続かず、結局日経平均は昨日比59円16銭安の1万3365円17銭で引けた。PMI自体は7月の確報値47.7から2.4ポイントも上昇し、4月以来4カ月ぶりに景気判断の分かれ目50をも上回ったことが、瞬間日本市場でのサプライズになったようで、為替も円安(ドル円98円台前半、ユーロ円130円台後半)に振れたが、当の本国たる上海市場や香港その他周辺アジア市場が意外に冷めていて(?)あまり反応せず、連れて東証でも戻し渋った感がある。
 我が2銘柄も新日鉄住金が1円安の287円、三井物産が4円高の1376円で、前者はそうでもなかったが、後者は前者共々さすが中国関連でもあるか、そのPMI発表の瞬間から一時スルスル値を上げ、10時59分に27円高の1397円をつけて1400円奪還までいく勢いだった。
 しかし新日鉄住金新日鉄住金で、いい意味で気になる材料があった。今日の日経朝刊13面(投資・財務)中ほどの囲み記事「4〜6月期決算ランキング㊦」で、今回決着したトヨタとの「自動車用鋼板1トン1万円の値上げ交渉」が、どうも今期通期の予想経常利益3000億に織り込んでいないようだというのだ(!)。テッキリ織り込んでいるものだと思っていたが、そもそも日経会社情報にもその旨がないので、これは9月中間締めに向けて自信にしていいようだ(!)。
 記事のサブテーマは、同じ通期の経常利益予想でも、当の会社側と市場(コンセンサス)とには乖離があり、それを今回ランキングしたというものだ。それによれば1位が断然トヨタで、会社予想の2兆0300億に対して、市場がプラス5105億も「見積もっている」のが現状だという。そんな中4位に新日鉄住金が入っていて、会社側が3000億というのに対し、市場がプラス636億だとしており、この中の全部か一部かわからないが、そこに「鋼板値上げ合意」が織り込んであるようだ。まあトヨタがそうである以上、新日鉄住金も順当にそうなるということだろう。