「目下の原油相場がバブルだ」と断じる日経社説。

 これも帰阪中のひかり513の車中で読み残しだった日経朝刊2面(総合1)社説の1本目に、米国の原油先物WTIがまたぞろ1バレル100ドル超まで上げたりしているのを踏まえ、これも実需を超えたバブルだと断じた論説があった。

 中東情勢とりわけエジプトの政情不安や米景気回復を材料に、ヘッジファンド等の投機筋が持ち高を増やしているという。米FRBのQE3縮小を睨み、新興国や他の商品市場から資金流出が加速しているが、そんな行き場をなくした向きが原油のみに行き着いている。米国商品先物取引委員会が発表したところでは、目下ファンドの買越残高が史上最高を更新していて、それはQE2の時分に北ア情勢不安があった11年3月の2割超であるばかりか、WTIがあの1バレル147ドルの史上最高値をマークした08年の3倍の規模にも達するという。

 確かに米景気が回復基調なのは、新車販売や住宅着工、それに毎月月初の雇用統計で失業率はともかく、新規雇用者数が20万レベルに達しようとしていることなどから、それぞれ堅調さを維持していることからも頷け、実需も回復基調なのはわかる。丁度3週前の4日に僕も「何だかいつの間にか(?)WTIが100ドルを超えている」と書いたのは、実に条件付きQE3縮小方針を打ち出した頃と軌を一にする。新興国では通貨安とのダブルパンチで、自動車販売に直接影響するなど景気悪化懸念がもたげてくる。同様に日本でもガソリン価格がリッター157円台に乗せ、原油価格にリンクするLNG(液化天然ガス)調達価格も然りとなって、もう8月から電力・ガス料金が一斉に上がる。なので政府はこういう状況を注視しつつ、個人・企業のマインド悪化を食い止める必要があると結んでいる。

 まあ原油高はかつての第1次・2次オイルショックを振り返るまでもなく、さすがにデメリットの方が多そうだ。メリットは直接原油関連株はもちろん、間接的に三井物産等の商社株も何とはなしに好材料ではやされたり(?)、僕個人的にあの08年7月同様、クルマの通行が減って安全かつ徒歩&自転車で通りやすい、といったことくらいしかなかろう。しかし08年の時も大部分がバブルで案の定、短期間の宴で終わったし、今回も注視は必要ながら実需以上の部分は近いうちに(?)問答無用で剥がれてしまおう。