新幹線では既に“2階建て”の時代でもないかもしれない……

 今日未明配信の日経電子版、並びに日経朝刊31面(社会)中ほどの小さなコラム「窓」に、JR東が昨日までに、東北新幹線に残る全車2階建て「Max」E4系を上越新幹線に転属させ、東北区間から引退させる方針を固めたという記事が出ていた。上越区間には94年デビューの「Max」E1系が健在で、両系共すぐ淘汰・廃車というわけではないが、後継の2階建ての計画はなく、やがて去っていく両系のあとは2階建てなしでいくという。
 もともと定員増が主目的の両系で、とりわけ97年デビューのE4系は16両時の総定員が1634人と東海道の1323人以上あり、高速鉄道としては世界最大を誇る。なので多客期や都市近郊の通勤・通学輸送に威力を発揮してきた。
 しかし如何せん車体断面が大きいせいで最高速度240km/hで、デビュー当初こそそれで良くとも、後にデビューした東北新幹線「はやて」「やまびこ」などのE2系、山形新幹線「つばさ」と秋田新幹線「こまち」のE3系がいずれも275km/h、そして昨年には300km/hのE5系「はやぶさ」が登場……そういった高速化の流れの中、一つの役目を果たしたと判断した。東北区間は将来の北海道新幹線をも視野に入れるので、航空機や夜行高速バスとの対抗上高速化が不可欠だが、せいぜい300kmそこそこの上越区間なら“はやぶさ”は不要、もう15〜20年選手でもある両系には最後の御奉公にうってつけの舞台かもしれない。

 2階建て、横文字を使うとダブルデッカーというが、そもそものパイオニア近鉄特急が79年デビューの30000系Vista CarⅢを最後に定期運行用のダブルデッカーを造っていない。そして新幹線でも、ダブルデッカーは先般300系共々引退した100系の全盛期や、東北の“100系もどき”の(?)200系の後が続いていない。
 ダブルデッカーは今は主に在来線で多いようで、東京近郊のJRや、関西の私鉄でも近鉄30000系が30年選手として健在のほかは、京阪特急8000系といった辺りだ。こうして見ていくと、新幹線や近鉄特急のようにスピード主体の車両は、もうダブルデッカーを見られない時代なのだろう。