遂に粗鋼減産解除(!)……だが株式市場の地合いは悪く。

 今日の日経朝刊には、新日鉄住金とその周囲を取り巻く環境に関する記事が、少なくとも4本出ていた。

 まず11面(企業総合)に、新日鉄住金の進藤孝生社長への取材記事がごく小さく、「10月以降に通常の生産に戻す」と、粗鋼生産を今年度第3Q(10−12月期)に1−3月期・1088万トン並みの、1100万トンを目指す方針を示したと出ていた。4−6から始めた1割減産を今日で一応終えるわけだ。世界各国の株式市場の悪材料にもなっている、中国経済の減速懸念がありその部分の不透明感はあるものの、国内自動車向けをはじめとする各方面への鋼材需要が増加の見通しだという。

 次に12面(企業)左中に小さくベタで、その「不透明感」を示す指標として日本鉄鋼連盟が昨日、8月の鉄鋼輸出が前年同月比3.5%減の343万トンと発表したと出ていた。減少は2カ月ぶりで、鋼材市況の悪化、それにやはり中国やタイでの自動車生産の減少等の影響だという。

 3本目がその中国での鉄鋼業界に関して、19面(マーケット商品)に「点検 中国過剰設備 鉄鋼、来年に生産能力ピーク」と題した囲み記事だ。目下国全体の粗鋼生産能力は11億6000万トン、14年の実際の生産量も実に世界の5割、かつ日本の8倍をも占める8億2000万トンに達する。そして同年の粗鋼消費量が20年ぶりのマイナスに転じた7億4700万トンで、さすがにここへきて年々増加していた生産が頭打ちとなったという。

 ラストに、昨日東証日経平均が前日28日比714円27銭安(!)の1万6930円84銭、新日鉄住金も119円50銭安の2136円で引けたが、17面(マーケット総合2)に、日経平均が直近安値をつけた去る8日と昨日との騰落比で、新日鉄住金が13.3%の下落率になったと出ていた。日経平均銘柄ベースでの下落率のランキングで、新日鉄住金が13位、僕的に目下カヤの外(にしたつもりはないが……)の三井物産がその上10位だという。やはり前記3本の記事が材料として端的に物語っているようだ。