7月22日、静かに職場を去ったKさん② 「出会って早々のアプローチ??」

 そして今から思えば初対面早々、彼女の僕へのアプローチは既に始まっていたようだ。通用門を入ったところから僕のそばをついてきて、社内売店で職場のユニフォームの選定・試着の際にも、もちろん試着室には一緒に入らないが(?)、入る前と出た後にもそれとなく僕のそばを離れなかった。

 なお、その日は作業は一切なく、会議室での座学……職場の概要や仕事上のルール、商品知識等々の研修だった。が、本来は2〜3日で終わるはずが、職場のレイアウト変更等々の都合で、何だかんだと結局年内一杯、既に入職していたメンバーも呼ばれての、研修センターに場を移した座学に終始した。僕的に前代未聞のことだったが(?)、他のメンバーは大概退屈だったようなものの、僕は大して苦にならなかった(!)。

 それからというもの……

 「昨日の研修での(山川の)メモを見せて頂けませんか? 転記させて頂きたいんです」
 「〇〇〇〇って何の略ですか?」
 「山川さんってどんなパソコンをお持ちなんですか?」

といったように、外見や性格とは裏腹に彼女の方から積極的に声を掛けてきた。また、年末最終日の12月26日(金)、午前中の勤務のみで午後はナシという大掃除の際も、そこはかとなく付かず離れずといった様子だった。

 しかし……僕はどうにも彼女に興味を持てなかった。小柄で胸がない一方(?)おとなしく、かわいいのは分かるものの、前述の会話の際もそうだったが会話に二の矢がなく、ましてやアベノミクスと違って第3の矢など贅沢千万(?)つまり口数が少な過ぎるのだ。彼女から話しかけてきておいて、僕が返事すると大抵そこまで、といったように、言葉のキャッチボールが少な過ぎ、それこそ1〜2往復(?)しかなかったりしたのだ。

 なので、折角の半ドン勤務、且つ翌日から年末年始の休暇入りなのにもかかわらず、彼女を誘うどころか予定を訊くことすらなく、正午でもって僕はサッサとひとりで帰宅した。(③に続く)