鉄鋼過剰解消への呼びかけに過ぎないが……

 今日の日経朝刊2面(総合・政治)の社説の2本目に、大部分が中国のせいによる鉄鋼製品の供給過剰について、どう解消に向かうべきかの論説があった。中国の「爆作り」「爆売り」(?)にはほとほと困り果てているが、過剰解消が遅れ通商摩擦の激化を懸念し、既にOECDにて協議がなされているという。
 
 経産省の推計によると、今年の世界の粗鋼生産能力が23億1000万トンに及ぶ一方、実際の生産量は16億6000万トンに過ぎず、6億5000万トンが過剰になっている。しかもその16億何某自体が既に需要超過もいいところで、方々で摩擦を生んでいる。

 そんな要因のひとつが、中韓などが補助金政府系金融機関の融資その他を通じて、新たな過剰設備の建設や、不採算企業(俗に言うゾンビ企業??)の市場からの退出を遅らせてしまうような政策を打っていることだ。中国は国内がもう手一杯なので、凝りもせず(?)海外展開の政策を進め、韓国も韓国でポスコインドネシアに建てる高炉製鉄所に対し、韓国輸出入銀行が支援している……そんな有様だ。

 そこでOECD鉄鋼委員会では、各国の政府系金融機関に対し事実上の自制を求めているという。また、OECD非加盟の中国が今回の協議に参加しているともいい、それは評価できるとした後に、G20の場でも対応の検討を願いたいと結んでいた。

 目下の鉄鋼製品の溢れ返りに対する処方箋でなしに、その処方箋はOECDなりG20の場で捻り出してほしいという呼びかけに過ぎず、無責任な論説と言えなくもないが(?)、読み方によっては僕的に持ち高ゼロの新日鉄住金株をいつ買えばいいかの、有力な処方箋になっている。その世界的問題が解消されない限り、鉄鋼ガリバーたるアルセロール・ミタルの復活があり得ないだろうし、新日鉄住金やJFE等の日本勢も生産を巡航速度的に落とし続けざるを得なかろう。それがひいては当面の株価も、万年割安状態からの脱却がお預けになるということだ。