日経産業から鉄鋼ネタ2本。

 今日の日経産業新聞5面(アジア・グローバル)トップに、USスチールをはじめとする米鉄鋼業界が、「ドル高・中国(の鉄鋼『爆作り』)・シェール減速」の3重苦に苛まれているという記事が出ていた。
 米商務省によれば、14年の鋼材輸入量が前年比38%増の4022万トンといい、ドル高で鋼材の輸入コストが下がっているためとしている。あと記事になかったが、米鉄鋼の価格面での輸出競争力をなくしているのも明らかだ。鉄鉱石の輸入コストこそ下がっているものの、それ以上の製品価格の下落が痛手なのだ。

 その輸入量の7割が中国からだ。相変わらずの慢性的過剰生産、早い話今風に言う「爆作り」(?)のために、中国近隣の東南アジアで起きてきた通商摩擦が、米にも波及し出したという。
 そこで業界では通商問題に持っていきたい考えだが、「爆作り体質」(?)が解消しそうにない上、中国の輸出業は中小零細が多く管理し切れないようだ。当の米国内にも安価な鋼材のニーズもあって、問題騒ぎにまでなるかは分からない。

 昨年央からの原油安も痛手で、直接的にはシェール開発用の高強度鋼管のエンドユーザーであるコノコフィリップス等、資源企業による開発投資の削減が影響している。

 更に末尾には迂闊にスルーできないことがチラッと記されていて、業界の反ダンピング(不当廉売)の提訴が相次いでいて、一部には返す刀で日本まで標的にされているらしい。

 次に3面(総合)「記者の目 電子版から」に、新日鉄住金が株価の万年割安状態から脱却するには、1にも2にもコスト削減がカギだと出ていた。前期の経常利益4517億から今期は更に増益を目指すとした割に、株式市場での評価がイマイチで、日経平均が一時2万に乗せた地合いにあっても300円前後にとどまっている。PBRもここ2年、東証1部平均を上回っておらず、外資系のトレーダー曰く「鋼材需要が見通せず、鉄鋼どころを買う投資家が少ない」という。

 合併して2年半が過ぎたが、「公約」のコスト削減額の2000億に対し、前期までに1400億と大部分を達成した。残りのノルマ600億も、うち300億は今期中に消化する方針だ。こういったようにコスト削減効果と、並行してモノ作りの基盤強化が図れれば、他社の引き離す好機になりえて、ひいては市場での再評価につながろうという。

 新日鉄住金株、というか、旧新日鉄も旧住金も、四半世紀前にほぼ揃って900円台をつけたことがあったから、僕もいつだったか言ったがそう遠くない将来、「夢の千円乗せ」を目指すことがあっても別段驚かない。因みに今日の終値は、前日13日比3.5円高の318.8円だ。

 ただ、目下持ち高ゼロの最中で早く買い戻したいと焦ってもいるので(?)、まだ数年は低位でいて貰いたいのが本音だ。