常任理事国倍増!?……政府の国連安保理改革案。

 今日の読売朝刊1面トップに、日本政府が立案中という、今秋の国連総会向けの新たな安全保障理事会の改革案の概要が判明したと出ていた。その中で、例の拒否権を持つ常任理事国を従来の5カ国から11カ国へ、非常任理事国を10カ国から14ないし15カ国に増やす案が骨子という。今年は国連創設から70年の節目でもあり、今秋は記念総会のようだ。

 改革案は10年前の05年にも日、独、印、伯の4カ国(G4)が創案したが、常任を11、非常任を14としていた。今回の案は場合によっては(?)非常任を1カ国増やし、それを大票田と目されるアフリカに配分するという。

 ただ、いずれにしても「新任」された6カ国の常任理事国は向こう15年間、拒否権がもらえないという案でもある。「古株」の米が、「新顔」にも付与されるのに反対しているのが念頭にある。しかし、それでいて4月28日の日米首脳会談では、米が日本の常任入りを改めて支持したというのだから、拒否権付与との絡みがよく分からない(?)。

 そして、安保理改革のためには193の加盟国のうち3分の2(129)以上の賛成で決議案を採択し、更には安保理の5常任を含む3分の2以上の加盟国による、国連憲章の改正案の批准を要するという。

 日本の常任入りは、かねてから俎上にのっては消えていた感がある。何だかんだと集団的自衛権の行使容認に行き着き、確かに必ずしも常任入りイコール軍事貢献ではないものの、そういう部分もなきにしもあらずな以上、憲法9条とそれに則った歴代政府の見解との兼ね合いでダメだとされた経緯があろう。ただ、昨夏にその行使容認の閣議決定に踏み切り、安保法制の整備にも着手、安倍首相も今年から日本の国連加盟60周年でもある来年にかけ、「具体的な行動の期間」と位置付ける。集団的自衛権行使の担保&常任理事国入りをダブルで目指す意気込みのようだ。

 なお、今回のこのネタは少なくとも朝日と日経には出ていなかったから、毎日や産経にも出ていなかったろう。ただ、毎日だけは夕刊やWebで後追いしたと思うものの、朝日と日経は夕刊にも出ていなかったから、別段追ってはいないようだ。