日経平均2万乗せの検証。

 昨日東証で、ザラ場で瞬間風速的ながら日経平均が15年ぶりに2万円に乗せたが、引き続き今日のMy各紙朝刊に検証記事が出ていた。

 朝日は2面(総合2)「時々刻々」に、大規模な金融緩和の流れの中でGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)や日銀、ゆうちょ銀行といった公的マネーが買い支えているに過ぎないとした。そして株価が上がっている当の企業にも戸惑いがあり、JR東海はリニアを材料に当初莫大な借入金が負担になり軟調だったのが、「資本の有効活用」つまり「借金も肥やし」という解釈に変わっているのに驚いているという。

 また、14面(オピニオン)社説でも、実体経済と乖離しているようにも見え、そこがイコールになるような政策が現政権に求められていると論じていた。こうしてみると、相変わらず朝日はどちらかといえばネガティブな論調に終始していた。

 読売は1面トップで、昨日9時07分の例の瞬間に、丸の内にあるSMBC日興証券のディーリングルームで歓声&拍手が沸き起こったと出ていた。しかし2分後にはまた2万を割った……そんな点も捉えてか、本文末尾では米金融引き締めがいつかや、中国経済の減速懸念もあって、ゆくゆく大きく調整する可能性も示唆した。

 ただ、読売は朝日とは逆に、「恩恵は富裕層だけだとの指摘も」という見出しがあるほかは、「景気好循環への期待」「企業業績も改善へ」……といった見出しが多く、ポジティブな内容に終始している印象があった。

 日経は1面左の囲み記事で「2年半で2.3倍に上がり、世界的にも突出していて警戒感も出始めた」と、ここだけを捉えれば意外にも、朝日同様に「泣き」が入っている感があった(?)。いや、自らの名が入った株価指数を論じる責任もあり、手前味噌等の下手な論調を打てないと律しているのかもしれない。

 3面(総合2)でも、先行き期待が高まる一方、引き続き米中の経済情勢や中東の地政学リスクといった不透明要因もあり、2万の定着には様々な克服課題があるとした。なので「浮かれポンチでもいけない」、さりとて「遠慮が過ぎてもいけない」と、強弱両面の気持ちが大事だと言いたかった感がある。

 ラストに株式新聞は、多分日本証券新聞と双璧を成すだろう、当然とはいえ9割9分強気の論調だ。1面の横一杯に「15年ぶりの2万」と大見出しを打ち、まずバブル崩壊後の歴代政権の不甲斐なさを改めて嘆いた。そして12年11月14日の、当時の野田首相衆院解散表明でトレンドが一変し、政権交代アベノミクスを経て遂にここまで来たと感慨深げに論じていた。

 また、感慨に浸るだけでなしにデータも引き合いに出していた。昨年5月から今年4月にかけての累計で、個人投資家が6兆5700億円を売り越したのに対し、GPIFが「バック」にあるとされる信託銀行が3兆4800億円、海外投資家が2兆5100億円、各々合算でジャスト6兆買い越した。
 なので5700億ほどの売り越しだが、海外投資家は2月第2週以降、一気に1兆4000億ほど買い越してきたので、この勢いは凄まじいと「売り越し5700億」を何処かへやってしまった(?)。

 こうして主要な論調を概観すると、日経平均2万乗せにも様々な是非がある。ただ、かつてのバブル時代に2万から3万、或いは4万まで窺う勢いにまで駆け上っていった時代の失敗は貴重な教訓にし、昨日9時07分に再度奪還した2万は肯定的に捉えたい。

 そして水前寺清子の歌ではないが「3歩進んで2歩退く」くらいに週明け以降もやっていけば、遠からず「3万奪還」の暁には「地道にやってきた結果で、決してバブル再発ではない」と堂々と言えよう。朝日の「忠告」は謙虚に受け止めながら(?)、慌てず騒がず、しかし着実に前進していきたいものである。