中国通貨のみ我が道を行く(?)。

 今日の日経朝刊7面(国際2)に、日欧その他途上国に至るまで軒並み金融緩和に動く中、中国のみと言っていいか人民元高政策を続けているという記事が出ていた。中銀の人民銀行がここ数日断続的に元買いドル売り介入を続けていて、昨日19日には前日比で一時0.65%高、率ベースで3年3カ月ぶりだったほどという。

 人民元は昨年対ドルで5年ぶりの安値圏になり、3日にも2年4カ月ぶりの安値を付けた。先の全人代で「成長率目標7%」が嫌気されたのか、金利低下観測によって投資マネー流入が細ってきている。その懸念による元安デメリットの方が、国内企業とりわけ輸出セクターの業績に寄与するメリットを打ち消して余りあると踏んだのだ。

 あと記事にはなかったが、そもそもの要因が全然違えど、ロシア同様にインフレ懸念もあるかもしれない。ともあれ、元が対ドルのみ高値でいたいのか、他の円やユーロに対しても高い全面高が望みなのか分からないが、投資マネーを再び引き寄せたい思惑なら後者の公算が高かろう。

 もっとも日欧が緩和中につき勝手に上がってくれるから介入が不要、あとはQE3を終わらせ、まだ出口戦略に動かない米ドルのみに売り介入するのは、確かに理に適っている。米FRBが引き締めに動くのが6月頃だろう見られる中、「そこまで待っていられない」というわけだ。そうなると、逆に言えばこれから中国も米通貨当局の動向に目配りを要し、「ウッカリしてた!」は許されないことにもなる。