その熱は地球のマグマに相当すると思っていたが……

 今日の朝日朝刊35面(科学)に、1週間前の12日付にも出ていた、土星の衛星エンケラドスの内部に熱源があると推定され、生命が発育できる環境がある可能性が高いとする研究がなされた、その続報が出ていた。90℃以上の熱エネルギーがないと生成されない、二酸化ケイ素の微粒子ナノシリカの存在が決め手になり、熱エネがあるとしたのだが、今度はその熱源が何なのかと、いつから存在しているのかも不明で、更なる探査や研究を待たなければならないという。

 それには2説あり、ひとつは潮汐(ちょうせき)加熱という、昔いた相撲取りのシコ名のような(?)現象だ。エンケラドスの公転軌道は土星が中心と言うにしてはかなりズレがあり、土星との距離が一定ではないので、重力も一定ではない。そのため土星との最近距離で大きく変形し、徐々に遠ざかるにつれ最遠距離で殆ど変形しない……その繰り返しによって衛星内部の物質が摩擦して、熱エネが発生するというものだ。
 ただこれは、内部の物質状態如何で熱量が変わるため、確信が持てないのが現状だという。

 もうひとつが内部の放射性物質の崩壊熱だが、物質の種類や量、できた時期によりけりという面があり、影響の有無の推定が困難だという。

 もっとも潮汐加熱にせよ、放射性物質の崩壊熱にせよ、いつからの現象なのかも不明だ。一時的現象であれば時間が少な過ぎ、生命の誕生自体の可能性が低くなる。この点は研究者の間で見解が分かれるという。

 12日付朝刊の時点ではそこまで載っていなかったので、反射的に「地球のマグマのようなもの……」と思いさほど疑問に思わず、潮汐(加熱)も初めて知った。しかし探査や研究を進めれば進めるほど、そういった新たな疑問が噴出していて、「可能性が現実だった」と最終確認されるのがいつの日か、距離的にはもちろん日にち的にも「近くて遠い」課題と言えそうだ。