水素ブームの中、風力発電にも抜かりない三井物産。

 今日の日経産業新聞11面(環境・エネルギー)に、先週末6日に三井物産がスペインの風力発電用の支柱メーカーに25%、154億円を出資する発表をしたと出ていた。25%の確保は、6月にも第三者割当増資引き受けと既存株主からの譲受による。

 スペインの件のメーカーは、首都マドリードに本社を置くコンヴァリ・エオリカといい、08年に設立した若い会社のようだ。生産拠点は本国と中、印、伯、トルコ、南アの計6カ国・10カ所に持ち、年間生産能力1715基は世界最大級。従業員数2900人、14年12月期の売上高2億9400万ユーロ(約390億円)だという。

 ベタ同然の小さい記事だったので、詳しくは物産ホームページに当たろうと思い立ち上げると、出資比率の残り75%は全てHolding Gonvarri,S.L.という持ち株会社のようで、他の団体や個人は一切入らない構成のようだ。

 日本では次世代エネたる水素の元年と位置づけ、国や東京都でも予算をつけて支援し始めているが、同じ日経産業11面「サーチライト」で「なかなか前途多難だ」とする内容のコラムもある(?)。確かに水素もそう遠くない将来必要不可欠なのは明確ながら、目先はそう簡単ではないのも目に見えている。

 
 さりとて21世紀に入ってそろそろ5分の1、そして何だかんだと四半世紀にも入るというのに、未だ化石燃料なかんずく石油依存……そんなエネルギー体質を改めていく「第n次エネルギー革命」も必要だと考えている。石油枯渇までのデッドラインがが更に延びたとする新説があるが、枯渇云々以前に日本の輸入のほぼ全部が地政学リスクに晒されている上、環境問題もあり、脱石油とまでいかなくとも「主から従へ」の転換くらいは必要だ。

 もっとも「これこそ石油に代わる主だ」というのも未だない以上、ヨチヨチ歩きに過ぎない存在の数々の次世代エネを競わせ、各々発展させる中で「石油を主から従へ」を推進させる他なさそうだ。そうなると従来の再生エネもまだまだ必要で、相変わらず「らしい」今回の物産の出資だとも思う。