経常利益6000億を目指す、案の定「旧新日鉄主導」の中計か。

 今日発行の日経ヴェリタス8〜14日号14面(企業)「スコープ」に、3日発表の新日鉄住金の来年度からの中期経営計画のことが出ていて、翌日に僕が綴った通り「事実上の旧新日鉄主導だ」とあった。小倉にある旧住金の高炉1基の休止、友野副会長の退任、もともと旧住金が経営支援を始めた半導体シリコンウエハー大手SUMCOへの出資比率引き下げ……こうしたことから、機関投資家やアナリストから「現社名から『住金』が外された」と冗談半分に言われ始めたという。

 元来鉄鋼セクターは投資家への配慮が足りないキライがあったが、今回発表の中計でROE10%(今期予想7%)を目指すとし、それも市場は好感した。そこでは具体的な経常利益がいかほどかまでは発表されなかったが、日経の全社的なものかヴェリタスの勝手なものか定かではない(?)予想値として、今期予想の5割増、約6000億(!)が念頭にあるかもしれないとハジキ出した。

 市場では「4日に山川もブログで言っていたが(?)、このまま事実上の旧新日鉄主導でガンガン行ってもらいたい」とする向きが徐々に支配的になりつつあるようだ。

 経常6000億というと確かに凄く聞こえ、07年3月期に旧新日鉄がマークした過去最高の5976億に匹敵はする。しかし旧住金も同じく3276億を上げていて、単純合算9200億超にはまだまだ及ばない。新日鉄住金として真の過去最高益とするならその9200億超といえようし、また、自他共に「合併して良かった」と思われるには、少なくとも1兆乗せ(!)も必要だろう。そうなると数年ぽっちの中計ばかりか、10年スパンで見なければならない遠大な目標と化そう。

 しかし、4日に綴ったブログの末尾を、ここで敢えてもう一度書くが……

 旧住金のそれこそトップからペイペイまでの面々が、「旧新日鉄主導でも構わない」と心底納得までしているのかどうか、心配なのはその一点だけだ。もし旧住金サイドが「もう旧新日鉄だの旧住金だの言ってる場合ではない。今や立派な新日鉄住金という一つ屋根の下の会社なんだから、旧社云々の議論やグチは最早詮無いことだ」とでも思ってもらえれば、心配が杞憂に終わり幸いなのだが……