東証の上場新ルール正式発表……しかし普段あまり考えないが。

 今日の日経朝刊3面(総合2)トップ、朝日朝刊7面(経済)トップ、読売朝刊9面(経済)に、いずれも昨日、22日付日経朝刊1面トップの既報通り、東証が1・2部上場企業を対象とした、「2名以上の社外取締役選任」その他を促す上場新ルールを公表したと出ていた。しかし読売はベタで申し訳程度の取り上げ方だったので、以下は日経&朝日を交互に片手に綴る。
 
 といっても殆ど22日付日経朝刊の通りで、新たに書くことなどないと言っていいくらい(?)正確なスクープだった裏返しだ。それにそもそも普段から上場基準等の是非にまで意見を持ちつつ投資したりしないが、あえて言うなら……

 昨日の日経朝刊18面(マーケット総合1)のコラム「スクランブル」にも出ていたが、今回のことで既にこの1月、QUICKが市場関係者にこんなアンケートをとっていた。

 「投資家からの信頼感が増しプラス」53%
 「企業業績が向上しプラス」       8%
 「影響なし」                33%
 「経営者が委縮しマイナス」       5%
 「その他」                  1%

 「その他」が何なの不明なのはさておき(?)、プラスと捉えている向きが6割超の反面、マイナスだとするのが極めて少数派だというのが目を引く。「影響なし」これ即ち「少なくともマイナスではない」と捉えると、今回のことを好意的に捉える向きが実に9割半ばに達するわけだ。

 しかしあくまで投資する側の論理で、実際取締役を選任する企業側からすると、こんな悩みがあるという。

 「大手どころはともかく中堅企業では、たった数か月後の6月から適用だと人選等でとても間に合わない」
 「マンコストの上昇」

 東証1・2部上場の延べ2400社となると、延べ3000人の選任が必要だろうという。また、彼らの年俸が目下800万から1000万が平均相場だとも言い、全体でマンコストが新たに延べMAX300億が上乗せされることにもなる。

 昨今のアベノミクス&円安&資源安その他で潤う、読んで字の如く1部の大手どころは、「ヒト&カネ」に比較的余裕があるからまだ良いようなものの、中堅の多い2部どころは人的&金銭的に加え時間的にも厳しいことが想像に難くない。それに朝日に出ていたが、人選に困った挙げ句天下りに走りかねない懸念もある。
 こういうことも世界の趨勢であるのは重々承知だが、こういうことでまた大手VS中堅の「二重構造」が顕在化していくかもしれない。