東証「社外取締役2名以上」の新ルール……上場基準とまでいかないが。

 今日の日経朝刊1面トップに、東証が1・2部上場企業を対象に、社外取締役の最低2名選任を促す上場規則案をまとめたという記事が出ていた。金融庁東証とで取り組む「企業統治指針」の一環といい、東証が明後日24日にも案を公表、一般の意見公募を経て制度化するという。
 この5月施行の改正会社法こそたった「1名」でもいいが、東証は更に踏み込む形になる。対象は1・2部上場の延べ2400社で、ジャスダックマザーズは対象外だ。

 制度の適用はこの6月からで、決して義務ではない。ものの、選任しない場合その理由を東証に対し説明を要し、当該企業の株主総会後に開示する。それすらできないというなら、東証が社名公表に踏み切るほか、違約金の請求の可能性もあるという。

 記事中、東証1部上場1814社の社外取締役の人数の円グラフも出ていて、「ゼロ」が700社(38.6%)、「1人」が724社(39.9%)、「2人以上」が390社(21.5%)となっている。

 2日後に東証から正式発表があるということで、それを待ちたい面もあるものの、記事で読む限り少なくとも上場基準とまでいかない制度にとどまるようだ。「義務ではない」「制度に反しても社名公表、最悪違約金の支払いで済む」というわけで、上場基準に抵触し即刻「監理・整理ポスト入り」から最悪「上場廃止」に至る、シビアな「処分」とは雲泥の差だ。

 余談だが4年少々前の10年末、日経CNBCでの『経済闘論』で、コモンズ投信会長の渋沢健氏がこう語っている。
 「1部上場企業であれば(社外取締役の選任を)義務付け、何らかの事情でできないのであれば2部に降格するくらいの(上場基準の)厳格化が必要だ」

 こういうように上場基準の厳格化にまで言及しているのだが、1部が対象で2部は対象外なのが今回と違う。しかし今回、1部・2部の上場基準にまで踏み込んでいないのが、渋沢氏でなくとも不満な点かもしれない。