「日本郵政上場」のスクープで不明な点約1か所。

 今日の日経朝刊1面トップ並びに5面(経済)に、日本郵政グループのIPO(Initial Public Offers:新規株式公開)計画案が明らかになったというスクープが出ていた。朝日と読売には出ていなかったから、後刻確認するが例によって毎日や産経にもなかったろう。先だっての「JR九州、16年度までに上場の方針」もそうだが、日経はこの手のスクープを9割9分逃さない。

 上場するのはHDたる日本郵政と傘下にある3社のうちの2社、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険で、残る日本郵便は引き続き日本郵政が全株保有し続けるため上場しない方針という。上場は3社同時に来年15年9月の予定で、05年10月に小泉政権下で郵政民営化法が成立し、07年10月にグループが発足して8〜10年が経って、真の民営化にまた一歩近づくわけだ。
 上場予定3社の発行済み株式数は、記事にないし調べてもいないのでわからないが、まず一発目は3社とも各々の1割程度の見通しで、最終的に日本郵政は政府保有の7割弱、傘下2社は過半数の売却を目指すとしている。ただ、郵政民営化法で政府が日本郵政3割強の保有が定められているのでそこは良しとして、傘下2社は最終的に全株放出することも定まっている。「過半数」にとどまっているのは、今回の上場計画で「とりあえず」という色彩が濃く、あえて完全放出のロードマップを提示しなかったようだ。

 しかし1面本文に「グループの連結純資産は延べ14兆で、PBR(株価純資産倍率)を0.5倍と仮定すると、その一発目で3社分延べ7000億もの売却収入の可能性あり」という記述があり、いくら仮定とはいえPBR「0.5倍」の根拠が大いに???なのだ。理論上PBR1倍割れはあり得ず、現に16面(マーケット総合1)に、昨日の東証にて日経平均ベースで1.42倍、1部全銘柄ベースでも1.43倍(共に前期基準)とあった。09〜12年までの民主党政権下では銘柄によって大いにあり得たが、自公政権が返り咲きアベノミクス下でこれだけPBRが戻ったのに、「0.5」と仮定したのは流石にサッパリわからない。