当面その恩恵に与ってから対策を練るか!?

 当ブログを綴れない間だったが、OPEC(Organization of the Petroleum Exporting Countries)が11月27日の総会で日量3000万バレルの生産枠の維持を決め、WTIや北海ブレントといった品種を問わず原油安に拍車がかかった。そして困ったのがOPECばかりでなく非OPEC、とりわけ資源依存度の高いロシアではルーブル安からインフレ懸念が台頭、露中銀が政策金利を10.5%から一気に17%まで引き上げても焼け石に水、といった混乱まで起きている。プーチン大統領曰く「全治2年」というが、ただでさえウクライナ問題に絡む米欧の経済制裁にプラスする形での今回の原油急落なので、露の苦境が来年以降どう世界経済に影響してくるか、僕はもちろん方々の有識者連中も全く読めてはいまい。

 先のOPEC総会でも減産決定するまいと、原油市場はてっきり織り込んでいると思っていた。しかし総会後更に急落したのは、一部に「減産決定するかも……」という淡い期待があり織り込みが鈍った面もあろう。OPECに言わせれば「今減産したところで反発してくれる保証などない。減産しても続落しようものなら泣くに泣けない」だろうし、中でも盟主サウジアラビアは、かつて協調減産したばかりにシェアを横取りされた苦い過去があって尚更だと言われている。

 いずれにしても原油安それ自体、輸入国にとってはそれに越したことはなく、全量輸入に頼らざるを得ないところへ、過去2度のオイルショックに苛まれてきた日本などは泣いて喜ぶべき事態でもある(?)。あとこれで円ドル相場が、せめて1ドル110円超の円高になれば灯油等の価格も下がり、確かにデフレ脱却には悪材料だが油の面だけはひとまず冬を越すのに安心だ(!)。

 しかしOPECのメンバーであるなしに関わらず、そうした産油国の苦境をあまり放っておくとどういう事態に遭遇するか、なかんずくどう日本に皺寄せが来るか、読めないだけに空恐ろしい思いにもかられる。少なくとも原油で生活するするしかないOPEC諸国が仮にペシャったら、輸入量の8割を頼る日本などはホルムズ海峡封鎖もどきの騒ぎではない。そうなると過去の第1次・第2次など所詮子供の騒ぎでしかような、想定外の凄まじい「第3次」が起きるはずで、そうなってからどうしようではもう遅かろう……

 ただ、「それが起きる前の事前準備の方策」だけは、今日の日経朝刊2面(総合・政治)の社説1本目に出ていた。
 「昨今の原油安に浮かれることなく、今のうちからバランス的なエネルギー政策を立てる必要がある」が主旨だ。コストや供給安定性の問題を解決し太陽光や風力などの再生可能エネを着実に伸ばしたり、日本近海に眠ると言われる、天然ガスと水が結合したメタンハイグレートの開発も急務だと論じている。