今は高度成長期やバブル期とは明らかに違うが・・・

 未だ日経平均が1万6000円に乗せず・・・最近訳あって見ていないが、日本の株式市場がパッとしないのに改めて驚いている。確か昨年の春先には既に「年末(13年末)には、どう安く見積もっても1万7000円には乗せる」という予想まであったのに、今年初めには1万3000円近辺まで調整したようだ。そして今日になって、これもいつの間にか東京外為で約6年ぶりに一時1ドル107円をカウントする円安も手伝って、ようやく1万5900円まで戻してきた有様である。米NYダウが、早々と1万7000ドルの最高値レベルまで上り詰めたのと大違いだ。

 そんな中、今日の株式新聞1面トップに、これから建設セクターが歴史的な大相場を形成するという、市場動向取材班のレポートがあった。20年の東京五輪はもとより、リニア建設とそれに付随する品川再開発と大プロジェクトが相次ぐ様は、64年(昭和39年)の前回東京五輪、72年(昭和47年)の列島改造論、80年代後半のバブル相場を彷彿とさせる。95年と11年の、阪神と東日本の大震災時のような一時的特需の短期相場とはわけが違う。とりわけバブル時、建設株は85年(昭和60年)のプラザ合意の頃以降、4〜5年で10倍ほど上げた・・・そんな過去の経験則が背景にあるという。

 ただ、確かに今後のそれらのプロジェクトはかつての高度経済成長期を思わせるものの、あくまで高度成長期は高度成長期、今とは時代背景が違い過ぎる。というか、昨今改めて思うのだが、高度成長期とは一言で言えば太平洋戦争の劇的な反動によるものではないか。その裏付けは、戦争前後から高度成長期までの経済成長率を時系列的に調べてみないと何とも言えないから、今ここでは想像の域を出ないが・・・だいたい円ドルが今でこそ100円ソコソコだが、当時は360円と3倍超も円安、しかも変動の荒波に晒されない固定だったのだ。あと列島改造ブームも、結局時の首相田中角栄の著書がベストセラーになっただけ、いわば大山鳴動して何とやら的なお祭り騒ぎに過ぎなかったのではないか。
 それにバブル経済も今思えば、プラザ合意後の急激な円高で日本経済が不況に陥り、政府・日銀による未曾有の金融緩和によるものだ。今は基準貸付金利と呼ぶ公定歩合を年2.0%という、当時としては過去最低の水準にまで引き下げたのだ。円高不況を逆手に取って克服した結果、と言えば聞こえがいい。87年のNTT株上場による空前の株式ブームもあって、特に銘柄を選ばずとも最低限東証大証の1部上場銘柄であれば概ね儲かった時代でもある。そうした中で何らかの不穏な裏の動きが、後にゼネコン汚職にもつながったのではないか。こうした悪しき“経験則”も忘れてはなるまい。

 株式新聞に物申したわけでもないが、僕的に建設セクターに関心がないのでこんな冷めた見方をしてみた(?)。とにかく60〜70年代の高度成長期と80年代後半のバブル期は、共に要因が要因なだけに2度と訪れないような特殊な時代だったわけで、今と一緒にできないのだ。