「介護切り」という名の新手の卑怯なリストラ。

 久し振りにブログにしたいネタを見つけた。今日の朝日朝刊4面(経済)に、「報われぬ国 負担増の先に」という大きなスペースのコラムがあり、その中で企業内で正規非正規を問わず、年老いた実の親の介護という事情には目を背け、ただ単に欠勤や遅早が多い点だけをあげつらって「勤怠不良」と烙印を押し、退職を迫る事例が4件綴られていた。高齢化社会の新たなる社会問題で、名付けて「介護切り」とでも言おうか。日頃から「社員並びにそのご家族云々」としたり顔でうそぶいている一方でこういうこととは、まったく最近の企業の考えることは分からない。いや、唯一分かるのは「強きを助け、弱きをくじく」という全くアベコベな子供じみたことか(?)。

 厳密には当てはまらないかもだが、僕も何を隠そう初の介護切りに遭ったひとりだ。敢えてブログにはしなかったことだが、東芝府中にある芝府エンジニアリングに勤めていた丁度2年前の12年春ごろ、大阪に残してきた70過ぎの実母が腰を痛めた。入退院を繰り返すうち骨粗鬆症による骨折と判明、急遽何度も帰阪する事情を抱えてしまった。そして秋に入り11月21日、まさに記事の1件目の如く呼び出しを食らって頑として退職を迫られた。
 ただしこの時は記事中の“被害者”と違って、僕的にある程度予測はできた。当時はあいにく安倍政権・アベノミクスのスタート直前、民主党政権末期の不況で結構生産量が減っていて、他職場への配転や応援が相次いでいた。今も思い当たるが、これを絶好の機会と捉え、スキルアップの名目で、慣れない仕事で体を潰そうとかの策略でリストラしようという意図があったようだ。僕の場合はそれもあったが、介護のためとはいえ欠勤・遅早も増えたことで、芝府側に格好のリストラ用の大義名分を提供してしまった。こういうリストラは人権蹂躙的にも関わらず労基法の対象外で、組合なり労働局に訴えてもまずムダとしたもの、会社側もそういうことも既に織り込んでおり、実に卑怯である。

 「やっぱりなあ〜、所詮東芝パナソニック同様の人権蹂躙会社だったか」
 クビになったのは残念だったが、日頃からエクセレントカンパニーづらしている企業の本性が、想像通りとはいえ明らかになったのは、一方で「パナと違って東芝はそんなことなかろう」という微かな思いもあって驚きでもあった。確かに芝府エンジニアリングという会社は表向き東芝とは別会社だが、100%子会社なので実際は東芝とイコールと解釈していい。現に東芝からの“天下り”連中が、上は社長から下は定年退職したOBまで掃いて捨てるほどいる。

 こう綴っていて1つ思い出したが、今回のテーマと直接関係ないものの、芝府では3年前にこれも名付けて「震災切り」という(!)空恐ろしいのもあった。東日本大震災の被災地出身の若手が、その心労からか一旦承諾した休日出勤を当日になってキャンセルしたことがあった。そして週明けの月曜の朝礼で激怒したのが“天下り”のT橋で、その一件のせいかは定かではないものの、1カ月くらい後に辞めて復興のために被災地に戻っていった。
 ただ、後から聞いた話では、被災地で両親を含む何人かの肉親を亡くされたそうなのだ。そこへ、ちょっと仕事に手がつかなくなったからといって、ドカ〜ンと落雷である。立派なパワハラ以外の何物でもなく、事実上の震災切りと解釈して間違いなかろう。

 ともあれそういったこと以来、当然だが東芝製品は一切購入していないし、今後もそのつもりもない。というかそれ以前に、在職中の3〜4年前に洗濯機とカラオケラジカセを買ったのみだ。そればかりか会う人ごとに訴えて、不買運動をも展開したいくらいだ(?)。「人は大切にしないがモノは大切にする」などという芸当は不可能で、せめてもの報復もあるが、そんな会社の製品はいつか必ず不具合品にブチ当たるからだ。しかも、これも当然のことながら、いつ何の製品でどんな不具合に遭遇するのか分かったものでもないのだ。昨秋初めて自宅で自炊に取り組むべく冷蔵庫や炊飯器、レンジを購入したが、いずれもハイアールやタイガー魔法瓶である。今後炊飯器や電動ポットに限っては象印もほしいところで、これらの会社は人権蹂躙していないと信じているが……