「クルマのお陰」で年初来高値奪還とは少々面白くないが……!?

 週明け2日目の東証は、欧米市場が思いの外軟調だった流れからか日経平均軟調で寄り付き、9時01分に一時昨日22日比110円弱安の1万4549円まで下げたが、10時過ぎの13年度経済財政白書や7月月例経済報告の発表を受けてか切り返し、更に後場には1万4800円台までつけた挙げ句、120円47銭高の14778円51銭で引けた。白書で個人消費増が先導し「長引くデフレから反転する兆しが現れている」との表現を盛り込んでおり、月例報告でも「景気が着実に持ち直している」とした前月の表現に加え、「自律的回復に向けた動きがみられる」と3カ月連続で判断を引き上げたことも手伝って、マクロ環境の好転を示唆しているのが心強かったようだ。

 しかしそれに匹敵する心強さであろう材料が、今日の日経朝刊1面中ほどに出ていた「新日鉄住金トヨタ、2年ぶりに鋼板値上げ合意」のスクープだ。Twitterでも言ったが、これを受けて新日鉄住金が9時05分に12円高の311円と、ジャスト2カ月前の5月23日につけた年初来高値タイに急伸し、僅か1分後には遂に312円と高値更新(!)一時東証1部売買高でも首位に立つほど賑わい、つい一昨日のMy展望が的中である(!)。結局引けでは10円高の309円、売買高順位も4位(1億0938万株)にとどまったが、たぶん旧新日鉄と旧住金との合併を公表した翌日の11年2月4日辺り以来、これも2年半ぶりの大商いだったのではないか。その辺は明日の日経本紙や株式新聞が教えてくれる筈だ。

 新日鉄住金トヨタが昨日、今年度上期の鋼板価格を12年度下期比トン当たり1割の1万円引き上げることで合意した。といっても既に上期は3分の2が終わろうとしているが、合意以前の分も4月まで遡って適用するということで、しかも値上げを呑むトヨタも合理化努力により、新車販売価格には上乗せしたりしない方針という。もっとも昨今の円安基調で鉄鉱石等の円ベースでの原材料コストが上昇、鉄鋼メーカー側のコスト削減努力のみでは厳しいとして、本来は値上げ額1万5000円を求めていたともいう。確かに中国の景気後退懸念によって、原料炭が1トン145ドルとここ数年で最低水準、鉄鉱石も今月は4−6月期比で8%下落したとはいうものの、円安デメリットが全てチャラ以上にしてしまっているらしい。

 ただそれでも返す返すも、円安メリットで潤った太っ腹なトヨタを褒めるしかなさそうだ(?)。僕は40年来の「鉄男」であるせいか、ガキの頃から今もってクルマにはあまりいい思いを抱いていないが、少し面白くないと言いつつクルマが経済の大部分の牽引役である点は、改めて認識せざるを得まい。

 あと三井物産も何気に上げて(?)24円高の1351円で引けた。こちらはこれといって材料はなく、5月22日につけた年初来高値1627円までの道程も遠そうだが、全体相場が堅調な中だと3%台後半の配当利回りに着目する買いが入りやすかった感がある。