日立も世界戦略着々と。

 今日14時30分配信の日経電子版並びに後刻配達された夕刊1面左中に、日立製作所ベトナム最大の都市ホーチミン市での、車両から信号システムまでの鉄道システムを370億円で受注したという記事が出ていた。ホーチミン都市鉄道1号線の51両の車両や信号、受変電設備、通信機器、駅設備の一部に至るまでまとめて受注、開業後5年間の保守請負のオマケつきともいう。日立は昨年7月にも、英高速鉄道の車両596両と向こう30年の保守点検も受注していて、独シーメンスや仏アルストムに対抗中だ。
 先の新日鉄住金も先般、世界の鉄鋼業の粗鋼生産ランキングでアルセロール・ミタルに次ぐ2位に浮上したことが正式に認められた。もっとも昨年10月の合併・発足前後からそういう見通しだったので、晴れて見通し通りになったことの確認に過ぎないが、競馬に例えれば旧新日鉄が中段に、旧住金が後方の位置取りだったのを、合併を機に先団を進む中国宝鋼集団や韓国ポスコをスーッと交わして単独2番手に上がり、相変わらず大逃げを打つアルセロールをマークするレースをし始めた、といったところか。今日の日経朝刊1面トップはその一環でもあるはずだ。
 日立も日立で、シーメンスアルストム、加のボンバルディアという鉄道ビジネス世界3強に伍すべく、今やそれら3頭をマークする単独4番手に上がった感がある。これも5月23日に触れた、中西社長自らのトップセールスがまた一つ開花した案件ではないか。やはりグローバル競争に打ち勝つには、やれ円高だの法人減税まだかと愚痴ったり人権蹂躙的リストラにウツツをぬかしたりする前に、ひたすらトップセールスに駆けずり回るとか、これだけは世界の誰にも負けないというナンバーワンかつオンリーワンの何かを持っていることが絶対条件だと、日立や新日鉄住金が示唆してくれていよう。
 両社ともさすが「ゼロイチ銘柄」の面目躍如でもあろう(日立6501、新日鉄住金5401)。逆に言えばパナソニック東芝のように人権蹂躙的で社長が全く仕事もしないような会社は、東証1部上場と言えども今日明日にも淘汰されて当然でもあるのだ。