人権蹂躙会社はパナソニックのみにあらずの昨今。

 今日の朝日朝刊6面に、東京・大阪・愛知・福岡・北海道の5大都市圏における、企業の労働者解雇や退職勧奨に関する自治体への相談件数が、08年のリーマンショックが収まったかに見える昨今再び増加傾向にあるという記事が出ていた。労働相談の公的機関は各地の労働局だが、データ集計が早い自治体に関して朝日がまとめたところ、12年度の総件数は約2万4800件だったという。確かにリーマン時にそれに匹敵する約2万7000件あったのが、11年度に至って2万2000件に減っていた……といっても2万件台は高水準なのに変わりがないが。
 そしてその関連として33面(生活)「働く」で『人減らし社会』という連載記事が始まり、まずリコーでの職場実態がリポートされていた。関東にある同社倉庫で、勤続四半世紀という50台のエンジニアが、よりによってその勤続年数も人生生きていないようなハタチ代の若造にコキ使われているシーン……これは明らかにリコー側が自発的退職を迫っているとしか言いようがない。解雇だったら退職金に色を付けたり、事によっては訴訟に発展しメディアに取り上げられることもあって、有形無形のコスト的にも何かと厄介だが、「辞めろ」「出ていけ」とは一切言わないこうした“陰湿なイジメ”なら、そんなリスクが皆無だろうという“経営見通し”なわけだ。
 こういったことは、製造業とりわけ電機業界では五十歩百歩あれど日常的に行われているかもしれない……記事中にこんな人員削減リストがあった。
 「パナソニックは現在の約38万5000人を今年度中に35万人以下に削減」
 「リコーは約1万人を来年度までに削減」
 「TDKは取引先を含め向こう2年で約1万1000人削減」
 「NECはグループ・業務委託先を合わせて1万人を、もう早くも今年度前半、つまりあと4カ月をメドに削減」
 「ソニーは今年度中に1万人規模の削減」
 まあ各社とも、昨今の欧州問題や米中景気低迷懸念とそれに伴ったハイパー円高、韓国のサムスングループやLG電子が強過ぎるからというから、万人単位で削減し当事者とその家族に相当な犠牲を強いる一方、当の企業の会長・社長といった、経営悪化を外部要因に求めて自らの非を一切認めない面々は、せいぜい相談役や会長に“退く”ものの本人や家族にはほぼ何ら影響を受けないわけだ。
 詳しくは一昨年さんざんブログにしたが、僕の場合は旧松下電器の、大阪門真市京阪電車西三荘駅前にあったディスクシステム部において、91年から辞めた年94年にかけて、簡単に言えばまず折角見初めた女性との職場恋愛からブチ壊され、精神的に弱ったところを既述のリコー同然の仕打ちを受け続けて、結局事実上の職場追放を食らったのだった。