かつて是銀さんが手掛けた、もう1銘柄の「住金」。

 今日の株式新聞1面トップに、今後は金相場が強含もうというインタビュー記事と共に、そういったことで住友金属鉱山(5713)を金関連株の筆頭として推していた。鹿児島にある菱刈鉱山での推定埋蔵量が149トンで、今期7.5トンの販売予定があるという。
 住友鉱と菱刈鉱山……とくれば丁度30年前の1981年(昭和56年)に“日本のウォーレン・バフェット”(?)今は亡き是川銀蔵さんが、日経朝刊のほんの小さなベタ記事から住友鉱の「上げ材料」を発掘し仕手戦を展開、200億円もの利益を上げたことで今も名高い(!)。
 是銀さんの自伝『波乱を生きる』第九章「逆転勝利」(257頁〜)にその経緯が詳しく綴られていて、直接は関係ないだろうが、高田みづえさんがその日もどこかで持ち歌『涙のジルバ』を歌っていたか(?)81年9月18日……近所の早朝散歩から戻り、気持ち良く朝風呂にも入り、ようやく朝食&朝刊タイムに手にした日経朝刊の何面かまでは述べられていないが、「金属鉱業事業団、鹿児島県菱刈金山に高品位金脈を発見」というベタ扱いの記事を読んだのが事の発端だ。そして我々なら読み過ごしたり読み落としたりするところを「その金山の採掘権者は住友鉱だ!」と、「もう株はやらん」宣言を急遽撤回(!)、間髪入れずに住友鉱の買い出動に打って出ていった。
 記事の出る前日9月17日の終値は226円だったといい、是銀さんの断続的買い出動によって世間のチョウチン買いも誘った挙句、26日には一気に倍超の472円、そして10月に入ると500円台をスルーするばかりか600円ラインをも越してしまった(!)。そして是銀さんの住友鉱持ち高も、何と実に4000万から5000万株(!)にのぼったという……

 今日の株式新聞10面の東証1部相場表に、住友鉱終値が前日26日比11円安の980円と、是銀さんが手掛けていた当時比でも相当な高値圏でいるようだが、PER8.2倍、配当利回り3.26%と出ていて僕的には適正水準だと思った。まあ、1面トップを読んでコモディティーとりわけ貴金属に関心がある向きには果たして買い材料になったかどうかはわからないが、日経会社情報新春号860頁に同社4位株主として、My手掛け中の住友金属「工業」が1.5%・872万株所有で名を連ねてもいて、何だかんだと同じ「住金」だと(?)縁がありや否やと時折悩むこともあったりする……(?)
 「へえ〜、確かに当時『涙のジルバ』とかの歌をリリースしたけど、そんなことがあったんだ〜!?」
 「あったんだ〜って、当時御年21のみづえちゃんは日経読んでなかったあ!?」
 「山川君と違って読めやしないってば……って、ああ〜っ、またちゃん付けで呼ぶう」
 「前にも言ったけど、ホントはウレシイくせに」
 「だ・か・ら、前にも言ったけど、ウレシクも何ともないんだってばっ!!」
 「はいはい……」
 「それよか、よく似た社名よね……住友金属鉱山? と、山川君手掛け中の住友金属工業って」
 「そもそも2月の新日鉄・住金合併発表の時、『住金ってかの“是銀銘柄”だっけ!?』って最初勘違いしたもん。すぐ是銀さんの本広げて『今回は住友金属“工業”!……是銀さんの時は住友金属“鉱山”!』ってやっと了解した」
 「へえ〜!?」
 「それだけじゃないよ。住友軽金属工業っていう会社もある」
 「うわ〜もうややこしい」
 「しかも3社とも東証1部だし、住軽金の筆頭株主がこれまた住友金属工業ときてるから余計にネ」
 「あはは……」