鉄鋼業界VS造船業界のバトルになるか……!?

 更に今日の日経朝刊12面(企業総合)中ほどに、造船会社の業界団体か日本造船工業会日本鉄鋼連盟に対して、鋼板価格で韓国向けと国内向けが違う「内外価格差」(国内向けが1トンあたり約2万円高い説)の是正を、来月上旬にも文書で初めて要求するという記事が出ていた。造船では約4割の製造コストが鋼板等で占められていて、中韓勢との受注競争でも前述の通りのハイパー円高が足かせになり、値下げ実現が焦眉の急のようである。
 これに対して鉄鋼業界では、依然として鉄鉱石や原料炭等の原材料価格が高値圏にあって、自動車業界に対するのと同様、そうそう値下げは呑めないようだ。だから造船側では是正要求を呑んでもらえなければ、中国等からの海外調達拡大を検討せざるを得ないとしている。
 ただ、鉄鋼側には果たして追い風になるのか、それをダシに造船のみならず自動車からも値下げコールの雨霰となるのか、そういう記事が31面(商品)トップに出ていた。鉄鉱石のスポット価格が目下1トン132ドル台で、中国での電力不足等で需要が落ちた昨年6月以来1年4ヵ月ぶりの安値圏にあるといい、資源メジャーBig3の中で豪英BHBビリトンや英豪リオ・ティントが増産基調の中、一部には110〜120ドルにまで下がると見る向きまであるという。
 先日9月29日にも触れたが、資源メジャーにとり上得意であろう(?)中国の鉄鋼セクターが、ようやく減産に転じる見通しであることから、さしものかねてからずっと高値圏にあった原材料価格も連れて下降していく感がある。そうなると、新日鉄を筆頭とする鉄鋼セクターは果たして、ハイパー円高も手伝ってのダブル要因による原材料輸入コスト下落で喜ぶべきか、それをダシにした造船・自動車等ユーザーからの値下げコールの洗礼を受けむしろ苦闘が続くのか、ちょっと僕には読めない状況が続くようだ。