「リスクは回避したし」されど「リターンは欲しい」って……!?

 今日の日経朝刊1面トップ&3面(総合)トップ&9面(国際2)準トップに、昨日のNY外為で円ドルが一時1ドル75円78銭の史上最高値を更新し(従来は8月19日の75円95銭)、各方面への影響や今後の先行き等々について出ていた。「欧州債務問題クライマックス」&「米国の追加金融緩和観測、暗に“QE3”への期待」といった多種多様な思惑や、投機筋の円買いドル売り、更にはリスク回避資金の円への駆け込みで、歴史的ハイパー円高の長期化も言われ出したという。ただ僕的に思うに、75円台の声を聞けば各国中央銀行の為替介入がなくとも、当面はそういう介入警戒感も湧き出て即76円台にまで反落すると見ていて、現に今週末は76円台前半で終わっている。もっとも、今年のここ2ヵ月ほどでいずれも瞬間風速的とはいえ、何と2度までも最高値を更新した事実をどう捉えるべきかという問題は残る。
 しかし、こうして日経新聞や日経CNBCを見ていて最近つくづく思うのは、リスク回避したい連中はリターンが欲しくないのかということである。相場という勝負事とは先にリスクをとってこその後のリターンであり、リスクと正面から向き合って戦ってこそのリターン享受であるはずだ。それを、リスクには背を向けて逃げ回りたい、しかしリターンは確実に欲しい……これでは単なる駄々っ子の我侭で論外千万も甚だしい。競馬で馬券を買った人全員が的中し配当を得られるわけではないのと同様(全員不的中の珍事は地方競馬で連勝を中心にままあるが)、大体そんなことが市場参加者全員に実現できっこないし、そういう連中は、リターンを享受している陰で、リスクと戦っているか泣いている方面があることの認識が全然ない輩である。