新日鉄・住金の自社株買いと金庫株。

 今日の日経夕刊5面(マーケット総合2)に、一昨日から始まっている連載記事『なるほど投資講座「自社株買い」』があり、サブテーマが「金庫株」だった。かつて自社株買いは旧商法で禁止されていたが、94年の改正でOKとなった。金庫株はその自社株買いで集まった、当該企業保有株だ。
 まず会計上、自社株買いした瞬間から取得額が純資産からマイナスされる。また、1株利益の計算では自社株買いの株数が流通株数からマイナスされる……そう説明があった。「純資産」「1株利益」という言葉が出てきている以上、これらはPBRとPERの計算・確認の上で超大事である(!)。
 次に有価証券報告書等に記載の大株主状況で「自己株式」の項目があったりするが、それが金庫株にあたるという。
 「有報か……新日鉄株あと700株集めて1単位になったら、晴れて僕にもくれるかなあ」という仄かな夢を抱きつつ(?)日経会社情報で新日鉄と住金の項目を見ると、大株主を先にズラリ並べたあと別項に「自社保有株」として、新日鉄が5億397万株(持ち株比率7.4%)で住金が1億6996万株(同3.5%)とあった。そして更に昨年大晦日に買った『月刊チャートブック月足集 2011年保存版 No.327』(株式会社投資レーダー 特別定価3200円)に、チャートの余白に今までの自社株買い状況が記されていた。といっても新日鉄は2回で住金は1回だけだが……新日鉄が98年3月30日に8292万3千株を175億円で資本準消却、そして02年5月23日に5億株を1千億円で金庫株とした。住金は98年4月3日に5913万6千株を128億7800万円で資本準消却した。なお、それら都合3回の買い出動時の株価は今となっては知る由もないが、チャートに目を凝らすと(?)いずれも200円ライン超のようだ。
 まあともあれ、来秋合併したらこれらの金庫株の処置も焦点になる……というか、もちろんのことだが公取委から合併認可がおりて、合併比率が煮詰まってからの話になる。それでも自社株買いがOKになった商法下で産業界としては初だろう大型合併なので、そういった面でも注目を集めて当然だろう。