昨日の鉄鋼連盟定例会見に関して、日経本紙&日経産業の記事。

 今日の日経朝刊12面(企業1)に、昨日の日本鉄鋼連盟の定例会見にて来年度の鋼材需要について、1.「(東北震災の)復興需要<ユーザーの被害」、2.外需で内需低迷を補えるかは不透明、3.よって来年度の粗鋼生産増は想定しづらい、といったことを表明したとの記事が出ていた。鉄連は震災前に粗鋼生産量の今年度来年度を共に1億1千万トンと見積もっていたが、自動車メーカーなどが鋼材引き取りを先送りし、また、福島原発問題で電力供給不足による生産ダウンと、放射能その他有害物質漏れによる製品への風評被害の懸念まであり、現に輸出先で鋼材引き取り拒否まで起きているという。そうなると、2.は不透明ばかりかハッキリダメになってしまうかもしれない。
 あと日経産業新聞4面(環境・素材・エネルギー)にも同様のことが出ていたが、そういった事情によって今年度のその粗鋼生産量1億1千万トンの達成か否かがまず微妙で、ダウンした東日本の分を西日本で補えるかどうかもまた然りと表明したとあった。
 『日経新聞の数字がわかる本』(小宮一慶著・日経BP社)の中で、「粗鋼生産量は年間1億トンが損益分岐点だろう。鉄鋼のような装置産業損益分岐点を越えると大幅な利益が出る。現に07年度は1億2千万トンで、それで新日鉄は経常利益5千億円超をあげた」(58頁)と出ていたことからすれば、今年度から来年度にかけてそれに匹敵する目標があったわけだ。因みに07年度のことを日経会社情報で調べると(但し目下の最新号である11年春号。当時の会社情報は買っていないので手元にない)、確かに08年3月期連結で経常黒字5641億円、株価も7月に964円とバブル時代の89年にマークした上場来高値984円に次ぐ高値をつけていた(835頁)。
 残念ながら当時とは真逆状態の逆境の最中な訳で、むしろだからこそ僕的には新日鉄株……あと合併相手である住金なりJFEホールディングスもポートフォリオに加えたいくらい、長期戦の勝負のし甲斐があるというものだ。