やはり今後の独禁政策の変革に行き着くか……

 今日の日経朝刊27面にある『経済教室』、サブタイトル「鉄鋼大型合併 何を意味するか>>下」で、今回がもう最終回で(?)残念なのだが「やはりそれで来たか」と案の定思った、新日鉄発足以降40年来の公正取引委員会による独占禁止政策を、今後の展望も交えて述べられてあった。
 僕的には『小説 日本興業銀行』(高杉良著・講談社文庫他)が一番詳しいと思っている、1970年に八幡製鉄と富士製鉄の合併で新日本製鐵が発足するまでの経緯を見ると、それはそれは政官財学を巻き込んだ大論争だったことが窺える。何しろ業界1・2位の合併という当時前代未聞だったであろうことなので、両社が取り扱う各品目について国内シェアを精査したものを更に精査する感じで、公取委にしたって承認まで2年を費やしたのは、待たされた側からすれば苛立っただろうが止むを得ない面もあったかもしれない。
 当時も貿易・為替の自由化進展の中での国際競争力の低下懸念が言われ、八幡と富士の合併はそれに対する解決策の一翼を担ったことになろうが、40年もの時を経て今回の言わば「更なる合併」……言い方を変えれば“八幡・富士・住金の大合併”も、40年前とはまず為替からして1ドル360円の固定相場で甘えていられたのが、昨今では今日も今日とて前述の通り昨秋以来の一時83円ライン突破と4倍強も円高になっている大きな違いが背景にあり、ただ単に国内シェア云々のみで独禁法違反につきアウトと杓子定規的判定をするのは如何なものかといったような、今回の論調だった。