中国へ贈る言葉……「絶対的権力は絶対的に腐敗する」。

 今日の読売朝刊9面(国際)トップに、チュニジアやエジプト、バーレーンといった中東諸国での反政府デモ……つまり大統領等の一個人による独裁の崩壊過程が伝わらないように、中国政府がインターネットやフェイスブックの利用の事実上の禁止・制限を設けて、「次は我が身」と神経質になっているという記事が出ていた。とにもかくにも89年の天安門事件の再来……「第2次天安門事件」の発生だけは起こさぬよう躍起になっているようで、13日付米紙ロサンゼルス・タイムズに「北京は(エジプト・カイロ)タハリール広場イコール天安門広場と化すことを警戒している」とも書かれる有様だ。今回のエジプトデモと22年前の天安門事件は、共に物価上昇による一般国民の反発という点で一致しているという。
 ただ中国共産党・政府は神経質になっている半面、やけに自信ありげでもあるらしい。中東でのデモはいずれも一個人独裁への反発であるのに対して、中国ではあくまで一党支配、7800万人もの共産党員が津々浦々に散らばり末端まで監視体制を整えているということで、確かに本質的な違いがあり自信ありげも頷ける。利権を手にした党幹部あるいはそれを目指して党に忠誠を誓っているであろう末端の党員、また22年前に武力鎮圧した人民解放軍が独裁を支えていて、「中東からの飛び火」の可能性はゼロに近いという。
 しかし我思う……その可能性がゼロに近いと思われたベルリンの壁東ドイツが崩壊、東西独統一を果たしたのも丁度そんな時期だ。ましてや今やネット時代、如何に一個人や一党による力をもってしても押しとどめることなど不可能なのが、今の中共には全くわからないか。大体中国の一般国民がちょっと日韓等に旅行し、ネットカフェやそんな類似施設にでも入ったらどうしようとも思わないか……本気でそんな情報統制を試みるなら、中国国民の海外渡航をも一切禁止せざるを得まい。もっともできっこない、ありえないが。
 折りしも中国は2010年GDPでこのほど日本を追い抜いて、世界第2位に座についたことが確定した。僕的には所詮「1対10の競争」に勝てるわけがないので遅きに失したと受け止めているが、かの国もかの国で日本とは違う意味で「経済一流なれど政治三流」では先々思いやられる。一個人だろうと一党だろうと独裁は独裁、そんなものは20世紀中に既に滅びており、今こそ中国には「絶対的権力は絶対的に腐敗する」という言葉を贈りたい気持ちで一杯だ。つくづく思うが本当にこの言葉は永遠に死語にはなるまい。
 そもそも古今東西における大事件や大事故もそうだが、歴史上特筆される大異変も、そんな僅かな、ゼロに近い可能性から発生するものではないか。