鳶が鷹を生むわけがなかろうに。

 先日発売の隔週刊の国際情報誌『SAPIO(サピオ)』(小学館)で、「SPECIAL REPORT 日本の若者がどんどんバカになっている」が気になったので買って読むことにした。確かこの雑誌、以前も1度このテの特集を組んでおり、その続編のようである。
 経済学部の学生が「為替」を「ためがえ」と読む!?……出版業界へ就活中の学生が勝間和代香山リカ池上彰も知らない!?……学生バイトなんて必要なし。親からの仕送りで間に合っている……超簡単な算数なのに「5+3*2」イコール「16」とな!?えっ、そうか、5+3=8、それに掛ける2で16というわけか。四則計算のルールも知らないか!?……新聞を読まない分際で新聞社へ就活とな!?……反対に就活のために日経朝刊を4時間かけて1面から株式市況まで読みつぶした……
 確かにこういった輩ばかりでは「就職氷河期」も当然だ……いや、氷河期を引き起こしているのは何も政官業の無策のせいばかりではなく彼ら自身も悪い、まさに身から出たサビである。採用セクションにしたってもう筆記試験・面接すらやってもムダ、履歴書等の応募書類を一瞥しただけで「蹴落としたくなる」のも十分わかる。
 ただレポートの中にあった「日経朝刊を4時間がかり」は、筆者は蔑んでいたが僕は褒めてやっていい人であり事例だと思う。4時間かかろうが半日だろうが、ブッチャケ朝刊となると日経にしたって朝日等にしたって最低4時間はかかって当然だから、社会人はともかく学生ましてや就活中なら……大体読まないよりは全然マシだからだ。むしろそんな必要がないということを、そうやって徒手空拳的に読みこなしていくうちに、自分なりの「情報の取捨選択術」として編み出していくことが重要なのだ。
 それにしても、最近の就活生をもつ親はアラフォー以上アラファー前後の年代、丁度僕とほぼ同世代ないし若干上だろう。そこで思うのは、20年程前にいて事実上追われる身にさせられた松下電器(現パナソニック)の大阪・門真にあったディスクシステム部(後の光ディスク事業部→AVC社)での日々である。まあ毎朝喋る社員スピーチ「所感」の、誰もが新聞ひとつ読まないせいか下らないこと下らないこと……そして誰もが「とりとめのない話になりましたが…」と結ぶのだが、とりとめのないばかりか質もレベルも全く伴っていないから何をかいわんやだ。
 そして辞めてもう16年が過ぎたが、92年に僕が組合支部で書いたあの「起死回生の一筆」にも反感を抱いてやまない「反山川勢力」(?)の連中は、「あんな山川が読んでた新聞なぞクソ食らえ」と思いつつ(?)今頃はもう結婚もして人の親にまでなって幾星霜(※僕からしたら不届き千万を通り越して摩訶不思議だが!?)、人によってはそろそろ就活の必要がある高校・大学生等の子供がいるはずだ。
 「果たしてどうなんだ、新聞も読まない親を持つ就活生って!?」……レポートから鑑みて、普通に考えればまずダメとしたものだ。大体「鳶が鷹を生む」ことなどまず考えられないからだ……いや、その言葉自体も知らない“タメ年連中”も多かろうから救いようがなかろう。更には、そんな輩が増殖してやまない大阪って先々一体どうなってしまうのか、最悪破滅か……とまで考える始末なのは日本中で僕だけか(!?)。