やはり下のクラスでは格が違ったか……!

 今日の朝日朝刊38面(社会)に、将棋の佐藤康光九段が昨日のB級1組順位戦で勝ったのか、今期順位戦9勝2敗で最終局を待たずにA級復帰を決めたという記事が出ていた。A級では前々期・前期と調子を落としたまま前期遂に降級が決まり、名人経験者のAからの陥落として故塚田正夫名誉十段、加藤一二三九段、米長邦雄永世棋聖中原誠十六世名人に次いで5人目となってしまったが、Aに返り咲いたのは史上初のはずだったか、かつて加藤九段もそうだったか、とにかく名人経験者はさすがなかなかAから追い出されない(!)。
 やはりタイトル戦登場・獲得の数で10や20は全然下らない上、かつて竜王や名人にもなり永世棋聖の資格まで持つまだまだ指し盛りの棋士がB1で指すのは、それこそ将棋で言う「手合い違い」もいいところだろう。競馬で言えば昨年ジャパンカップなり有馬記念を勝ったローズキングダム(まあ“あれはタナボタ”だったものの、ダービー、菊花賞でも2着)なりヴィクトワールピサ皐月賞馬でダービー・JCも3着)が、オープンから落ちて準オープン(1600万条件)に出るようなもので、陣営も何の名誉にもカネにもならずアホらしいし(?)こちらも馬券が買えない(?)。もっとも競馬は一定以上の収得賞金をカウントしてオープン入りしてしまったら、以後どんなに成績不振でももう準オープンに落ちることはできないが。相撲で言えば横綱その他三役が前頭十何枚目や幕下としか取らないようなもので、そんなの有り得まい。
 プロ将棋でもAとB1の間ですら厳然たる格差がある。Aの対局が将棋会館の特別対局室という文字通り特上の部屋で1局2人または2局4人並んで、水が滴る音すら憚られるくらいの厳粛な空間で指せるのに対し、B1以下は大広間で10局以上のべ20人以上が入り乱れて(?)まるで街中の碁会所・将棋センターよろしくそこかしこで駒音をバチバチ響かせてうるさいうるさい(?)……飛行機で言うファーストクラスとエコノミーくらい、今春デビューの東北新幹線E5系「はやぶさ」で言うグランクラスと普通車くらいある。Aでの対局が名人挑戦にかかっているため当然で、新聞の観戦記だって朝日・毎日にはAは朝刊にもれなく大きく、B1以下は毎日夕刊に載るか載らないか……収入もAの「月額手当」が60万円強なのに対して、B1は40万円そこそこと20万ほど差があると聞いたことがある。あと順位戦以外の対局で、B1以下にタイトル・永世資格の保持者がいない限り(今C級1組に広瀬章人王位がいるが)基本A級棋士が上座に座って王様の駒「王将」を持つとか(下位者は「玉将=ぎょくしょう」)、その他細々した格差もある。