「高所得者増税に異議あり」に異議あり。

 今日の日経朝刊2面(総合・政治)の社説1本目に、政府・民主党が11年度税制改正において高所得者を狙い撃ちしたような増税策を打ち出したが、いくら財政再建が喫緊の課題とはいえ異議があるといった書き出しの論説があった。政府税調が所得税に関して「所得控除」縮小案を示し、高所得者層にシワ寄せが来るという。政府・民主党所得再分配による格差是正を目指すが、低所得者が「低」で高所得者が「高」はアンバランスではないか。消費税等に着手せず、「金持ち喧嘩せず」を文字通り地でいくように、反発が少ない高所得者を狙い撃ちしたのでは日本経済活性化も覚束ない。
 いよいよ「ANNECSがEDISON21に“宣戦布告”か…!?」という見出しも躍りそうなブログになりそうだ(?)……というのは、如何に「My親友&ライバル」日経の(!?)社説といえども、今日のこの論説は僕が低所得者だからということを差し引いても、どう読んでも理解に苦しむからだ。低所得に苦しんでいる方面には優しく、高所得を謳歌している向きには申し訳ないがその幸を分けて欲しい……本来それが学校時分に習ったことでもある累進課税の第一意義、根幹中の根幹ではないか。文部(科学)省のとりわけ社会科の教科書検定を通じて僕らに学校時分そう教育しておいて、結局旧自民党(単独・連立)政権は全く真逆の政策を採り続けてきたわけで、現民主連立政権はようやくそれを「チェンジ」しようともしているわけだ。
 日経読者の殆どは共産党が「アンチ視」する財界・大企業・高所得層で、確かに僕のような輩は稀だからそういう論説を展開しなければならない事情はわかる。むしろ、特に朝日・毎日なら絶対に書かないであろう論説を読む意義だって、確かにあるといえばある。「山川、おまえだって頑張って一刻でも早くexecutive:エグゼクティブになったらいいじゃんか!?」との叱責・励ましというなら、確かに甘んじて読んでおきたい面だってあろう。
 しかし16年前に松下電器(現パナソニック)を辞めて……いや、事実上追放されて、そこのせいで結婚もできない低所得者の身になって、そして今時分になって初めて身に沁みたこととして、ザクッと見渡した感じまるで動植物の食物連鎖よろしく、また、大企業対中小企業という経済の二重構造よろしく、少数の高所得者というのは大多数の低所得者の「御奉仕」、ばかりか時には「犠牲」の上にあるともいえまいか。大体、今回の税制改正では何も「高所得者低所得者になれ」とまで謳ってはいまい。高所得を得るまで至ったサクセスストーリーは大いに認めるが、もうチョットでもその幸を社会還元する気はないか……ということではないのか。