今日はちょっと冴えていた(?)1本の朝日社説。

 労働者派遣法の改正が今日閉会の第174通常国会では結局お流れ、7月11日投開票の参院選後に召集の臨時国会にて継続審議となった。24日の公示を待たず事実上早くも参院選モードで、確かに僕も国会という名の「競馬場」での、衆院選共々そうそうない「G1レース」には一介の有権者として徐々にテンションが上がってくる。今回はまさに群雄割拠、圧倒的人気の政党・候補者はそんなにないと思えていて、有権者各位今から、当日どういった「単勝複勝」を買うか、つまりどう候補者名・政党名を投票するかの吟味が悩みを含んだ楽しみでもあろう。まあ、どうせ派遣法改正はまだまだ詰める必要のある部分があるし、一昨年以降しばらく続いた「派遣切り」流行も一段落したのか今はその時ほどの熱気も薄れてそうなので、下手をすると知らないうちに日ならずして廃案になる危険性もあろう。
 そんな中、今日の朝日朝刊3面の社説の1本目、中国の産業界に於ける種々の問題…労働者階級のストや、最悪の結果自殺者まで出してしまったことを通じた賃上げ圧力、そしてその政府・企業の対応振りにスポットが当たっていて、久し振りに少しだけながら論調が冴えていた。中共や労組の「しつけ」によって実に従順な労働者であるのをこれ幸いに、成果配分が殆ど経営者に行く一方、多くの工場に於いて労働者にはかつての日本の「タコ部屋」まがいの住居に集団生活をさせ、更に日本円換算で月給2万ほどの賃金で我慢もさせる、「それはつまり中国版『蟹工船』なのか!?」と捉えてしまいかねない状況への反駁が絶えない。いよいよ中国人労働者も人間の尊厳を守るべく決起したといえる。
 世界一の人口を誇り、早晩GDPで遂に日本を差し切ってしまう中国でそういった動きが始まったのである。いわゆる中国以外のBRICs諸国等、他の新興国でも追って、人間の尊厳を守りたい動き、いや、騒動、ひいては最悪暴動にまで発展しても決して考えられなくはない。今日の朝日社説は、とりわけそういった国々へ進出することに躍起な日本企業への、もううるさいまでの警鐘であり、今はいいとはいっても国内外において早速対応策を練らねばとレスポンスの早い企業は一体どこか…そういった「競争」も見もの、いや、非常に大切なことだろう。