確かに硬直化した料金体系だが…

 今日の日経朝刊13面(企業2)に、関西の私鉄・近畿日本鉄道の特急料金が現在の一律的体系から、JRや関東の東武鉄道のように時間帯や曜日、季節の繁閑の波に応じた体系に改めていくという記事が出ていた。現在近鉄はそういう繁閑を問わず「乗車距離何kmから何kmまでは何円」という、悪くすると硬直的な体系だが、JRやバスとの競争はさることながら、もうすぐ終わるとはいえ「千円高速」、いずれにせよ早晩現れるであろう「格安高速」自体も脅威なので、ようやく重い腰を上げた感がある。
 東武もそうだが、近鉄ももともと特急の車内設備や車販サービスで国鉄の1等車(グリーン車)並みながら料金は2等車(普通車)並みということでウケてきた経緯がある。しかしJRになって巻き返した結果、両者の差は運賃程度にとどまってきている。そこへ出現した例の「千円高速」、また早晩現れる「格安高速」は、JRすら東海道新幹線の旅客数・運賃収入の減少に象徴されるように、鉄道の「新たな宿敵」として迎え撃たざるを得ない。
 幸い近鉄東武以上に観光資源、とりわけ京都や奈良をはじめ外国人にも人気のスポットが豊かだ。国内の「少子化対策」には当面海外からの「応援」が不可欠だろう。とすれば、昨今の為替の円高傾向もあるし、やはり特急料金の事実上の値下げも視野に入れる必要もあろう。または「心理的」な面での何らかの工夫、つまり料金数値的には下げないものの、リピートを増やすための更なる工夫がほしいところである。例えば特急券の更なる回数券化(もちろん綴り枚数を増やし有効期限も数年に延ばすとか)や定期券化で実質乗り放題の大胆サービス(やり過ぎなら日々の回数制限を設けるとか)、そしてそれらの利用回数・期間に応じたポイント付与…というように矢継ぎ早に打ち出せないものだろうか。
 残念ながら、確かに今の近鉄を見ていると、かつての国鉄を見ているようだ。