やはり労働者派遣法改正は職業安定法を基軸に据えよ。

 今日の朝日朝刊6面(政策)に、ようやく今週から国会での審議に入った労働者派遣法改正について、その問題の数々を派遣労働者の観点から検証した記事が出ていた。現行の派遣法からは労働者側にとって一応一歩前進だが、あくまで一歩に過ぎず、まだまだ何だかんだといいようにされる危険性が指摘されており、最低五歩も十歩もの前進が必要のようだ。
 いや五歩十歩の前進より何より、僕も以前書いたが(3月15日)労働者派遣が市民権を得る前の段階に立ち返ること、すなわち職業安定法なかんずくその44条のレゾンデートル……存在意義を再認識する必要がある。この記事でもそうだが、スペースの都合があるにしても職安法への言及が一切なかったのは遺憾だ。
 過去とりわけ戦前戦中において、まさに小林多喜二蟹工船』まがいの派遣労働が横行した反省・教訓から生まれた筈の職安法でありその中の44条の筈でもあると聞いている。記事では5人の派遣労働者が匿名でインタビューに出ていたが、各々も職安法を知らないのか全く言及がなかった。つい先日(4月16日)、高失業率は失業者側にも責任がある旨のことを書いたが、それに似て派遣その他非正規労働者の待遇改善も覚束ないばかりか、逆に悪くなるばかりなのは物事をもうひとつ分かっていない労働者側にも責任の一端があるようだ。