本業そっちのけでもなかったろうが……韓国ポスコ。

 今日の日経朝刊9面(アジアBiz)トップに、韓国の鉄鋼最大手ポスコが事業多角化戦略を見直し、本業の鉄鋼に邁進する姿勢に転換するという記事が出ていた。ただ、ついこの間までM&Aによる多角化に没頭していたとは僕的に知らなかった。

 商社やプラント、エネルギーはもとより、実現しなかったものの物流にもコンタクトをとったという。しかし直近5年の業績のグラフも出ていて、売上高こそ10年のみ50兆ウォン弱(ざっと5兆円??)だった他は60〜70兆ウォン(6〜7兆円??)で推移していたが、純利益が10年の4兆ウォン強(4000億円??)から右肩下がりで、14年には5570億ウォン(597億円)にまで減益になった。しかも14年は予想も大きく裏切っていたという。

 多角化戦略は、中国勢の台頭に危機感を募らせた挙げ句だが、ロクに業績に貢献しないまま負債のみが膨らんだ。なので「やはり鉄で生きて行かなきゃ」と反省したのか、まず17年にも、日本の日産向けハイテン(高張力鋼板)の供給で合意する見通しなのを皮切りに、明言していないものの、当面は日系自動車メーカーへの販売に邁進することが明らかだろうという。

 中国勢の台頭というのは、かの国の供給過多が世界的問題にまでなっていると言っても大袈裟ではないのだが(?)、さりとて世界一のアルセロール・ミタルはもとより、日本の新日鉄住金もJFEも、そんなところまで多角化していない筈、いや、アルセロールが自ら鉱山採掘している以外、少なくとも僕は聞いたことがない。新日鉄住金に限って言うと、新日鉄住金エンジニアリングや日鉄住金物産というような関連企業は確かに多いものの、いずれも何かしら鉄に関連しているところばかりだ。

 ポスコも危機感を持ったまでは良しとしても、危機回避の手法を間違えたとしか言いようがない。ハイテンは新日鉄住金等の日本勢が強いし、さりとてこのままではラチがあかないし……と思わず手っ取り早くM&Aで勝負に出たのだろう。まさか本業の鉄そっちのけだったとまでは夢にも思わないが、所詮ローマは一日にしてならず、もとから地道にそうしていたら良かった感もある。