土星の一衛星に生命発育の環境が……

 日米欧の研究チームが土星の衛星の1個エンケラドスに、生命が発育できる環境が存在する可能性が高い……という、申し訳ないながら我々からすると奥歯にモノの挟まったような研究結果(?)を、今日付け英科学誌ネイチャーに発表したという。ウチの今日の朝刊でも日経は取り上げていなかったが、朝日1面準トップと3面トップ、読売37面(社会)トップに出ていて、今日の朝刊各紙でも取り上げの有無があるようだ。

 火星では08年に米探査機フェニックスが水分の存在を、09年には大気中のメタンの存在をそれぞれ突き止めたが、あくまでH2O&CH4のみ、その他の物質等の必要な環境が発見されず、さすがに「火星人は実在した」とまでいかなかった(?)。

 件の衛星エンケラドスは直径500kmで、地球の20分の1にも満たないばかりか月よりも更に小さい。平均の表面温度がマイナス200℃。幅がいかほどか分からない分厚い氷層に覆われているが、内部では地下海があり、その成分には塩分、CO2、アンモニア有機物が含まれることが、従来の研究で既に判明済みだ。

 あとは、それらの物質に働きかけて生命誕生のための化学反応を起こす、光や熱のエネルギーの存在如何だった。まずNASAが97年に打ち上げた、土星探査機カッシーニによって採取された物質のデータを解析し、ナノシリカという二酸化ケイ素の微粒子の存在を突き止めた。それを受けて日本のチームが10年から13年の3年がかりで、件の海を模した実験によりナノシリカ生成には90℃以上の熱水が必要、よって熱エネも存在すると結論付けた。

 確かに未だそこまでの解析や実験、研究にとどまっているので、奥歯にモノの挟まった如くなのは仕方がない(?)。大体地球と件の衛星の大気が、構成物質から平均温度から全然違おうし、「たった3年の人的実験」対「何万年か何億年もの自然現象」というケタ違いな期間&現象の差もあり、日本のその実験において、果たして件の衛星の環境を完璧に再現できた上でなのかどうか、大いに疑問だからだ。

 かといって、生命発育の環境の存在を否定するつもりもない。科学の世界では、たったコンマ何%でも可能性さえ認められれば、それは100%だとするポジティブな伝統というか思想(?)があり、内外でテンションが上がるのも無理はない。

 朝日3面の末尾には今回のこと以外に、NASAが09年に打ち上げた宇宙望遠鏡ケプラーによる観測で、地球から500光年、1200光年離れた惑星での水分の存在を突き止めるなど、太陽系の内外問わず世界的に地球外生命の探求に余念がない旨のことが出ていた。確かに、例え実験研究結果が奥歯にモノの挟まった感じに過ぎなかろうと、コンマ何%に全ての可能性を託すことこそ、科学における夢とロマンだ。

 もっとも仮に地球外生命が存在するとしても、地球上でいう微生物や植物にとどまるのか、太古の恐竜から果ては人間ような動物までいるのかもまた、発見されていない間は夢とロマンの範疇に入る。僕的には危険が及びかねない恐竜はもちろん、漫画・アニメ『Dr.スランプ』に出てきたニコチャン大王のように、日本語はできるもののおバカなキャラも願い下げにしたい(?)反面、ウルトラマンのような地球人を遥かに凌ぐ高度な能力や文明を存ずる生命体は、大いに歓迎したいところだが……