円安を追い風とする、日本の鉄鋼輸出データ。

 今日の日経朝刊18面(マーケット商品)に「データで読む商品」というコラムがあり、日本の鉄鋼輸出が昨今、量でも粗鋼生産比でも90年度比で倍以上増えたと出ていた。90年度の全輸出量が2000万トン弱、粗鋼生産比で10%台央だったところから、何だかんだと(?)上昇トレンドを描き、約四半世紀を経た13年度には前者4200万トン、後者40%弱にまで至ったという。

 このコラムはあくまでマクロデータを取り上げているだけで、ミクロとりわけ個別企業がどうだとまで出ていないが、新日鉄住金の株価が2月半ばに僕的当面の節目(?)300円ラインをアッサリ突き抜けたばかりか、320円ライン(!)まで上げてきたのは、3日発表の来年度からの中計はさることながら、為替の円安トレンドとリンクする格好でこのデータもあるのも明らかだ。

 しかしやはりMade in China……中国製の鋼材が相変わらず溢れかえっているのが脅威で、ふた昔前に日本同様だった中国の粗鋼生産量が、昔日の日本さながらの昨今の高度経済成長を経て当時の9倍、8億2000万トンと世界の半分を占める。

 東京製鉄に言わせれば、薄鋼板になる汎用品の熱延コイルは円安でも成約がないというが、海外の日系自動車メーカー向けの高付加価値品は市況の影響を受けにくいので、中国の宝山鋼鉄や韓国のポスコ等も巻き込んでの競争激化が予想されるという。

 海外市場において、それら中韓勢と、新日鉄住金やJFEその他の日本勢に、世界的ガリバーのアルセロール・ミタルも巻き込んでのバトルロイヤルが今後も激化しようが、一部で円安が125円まで進むという見立てまであり、少なくとも日本勢は当面、価格競争力を前面に押し出す戦術でいくしかあるまい。