他力本願で何もわかっていないパナソニック株主。

 昨日パナソニックの定時株主総会が10時頃から大阪城ホールであり、チョイ荒れながら(?)昨年とピッタリ同じ2時間1分で終了したという。
 まず今日の日経朝刊11面(企業1)に、前期63年ぶりに無配転落したことを受け「復配は今年度の最優先事項」とし、今期500億以上の純利益を上げ復配にメドをつけたいとあった。株主から「復配はいつになるのか!?」という質問も当然あったのだが、今度は日経産業新聞3面(デジタル総合)に「時期の明示はまた結果ウソになる可能性があり、その辺は信頼して任せて頂きたい」との回答があったという。昨年の株主総会で会社側が「13年3月期のV字回復」を宣言したものの半年で撤回、10月に7500億からの赤予想を出したことに「株主総会を愚弄している」と詰問されたこともあったのだろう。
 次に朝日朝刊8面(経済)に、今流行りで且つ社会問題化している「追い出し部屋」なる人権蹂躙部署(!)について、「『人の松下』と言われた往年のイメージから一転、今やブラック企業化したのか!?」と問うたのに対し、「人を大切にしたい気持ちは強く、多くの仕事を生み出し雇用も確保し続けたいが、産業構造が移ろう中で人材の流動化も不可避。社会の中で果たすべき役割を果たしたい」と出ていた。ここ数年で連結人員8万からの削減というリストラを進めたことも、むしろ批判が大きかったともいう。

 まず日経2紙を読んでいて若干混乱をきたしたのは(?)僕だけではなかろう。「500億の純利を上げ復配にメド」と言いながら、再度ウソつき呼ばわりされかねないからと、今期復配できるかどうかすら明示しなかったのは明らかに矛盾しており、株式会社なかんずく東証1部上場企業として失格である。「総会を含めて株主を愚弄している」という怒りは当然だ。また、朝日のそういう側面の取り上げ方は、相変わらず「反権力・反大企業」の論調でさすがの切れ味なのだが、会社側のそういう回答は「まだまだ人員削減を続ける。せっかく大坪時代に『松下…』から社名変更したのだし、人権蹂躙だろうと何だろうと」とも受け取れ、悲しいかないみじくも株主が指摘した通りヤクザまがいのブラック企業化に邁進するのだろう。
 しかし今回批判されるべきは、他ならぬ株主もだ。松下幸之助の子供騙しの思想に洗脳されたからだか、家代々の株主でシガラミがあるからか知らないが、含み損や無配転落に関して余りにも自己責任が無さ過ぎる。また、社内の真の実情に関しても余りにも知らなさ過ぎで、その辺は今やネット時代、僕のような元ステークホルダーのブログなりツイッター、facebookその他をくまなく検索して新聞等にとどまらない情報収集、それを怠っているのも棚に上げている有様だ。今どき水道哲学をも幼稚園児すら鼻であしらうこと一つにしても、全く把握できてもいない。今も居残る社員どもが未だに毎朝「綱領」「信条」「七精神」という、現代にあってもはや世にも奇妙でしかない御大層な経文を唱えては「どんなに赤を出そうが毎日こうしていれば必ずいいことがある」と曲解しているのと同様、株主も株主で「パナだけは今も『神様』の会社なんだから、そのうち何とかなる」と、本気で信じているのか開き直っているのかわからないが、どちらも自分では何もできないのか何もしないのか、ツブシのきかない他力本願な輩が如何に多いことか……
 株式投資である以上、誰しも「自分の人生に大事なものBest5」に入る「財産」がかかっていて、投資先がペシャりそうならすぐ見切り売りでも出して、他をあたるのも当然の行動の筈だ。それも出来ずに会社批判を繰り広げても無駄な遠吠えに過ぎず、総会でも会社側に内心「だからウチに投資するのも再考した方がいいのに……」とナメられるのだ。
 もうパナは5年10年と持つはずがないのだ。断言してもいい。離されながらも2番手追走の新日鉄住金が、大逃げを打つアルセロール・ミタルをそう遠くない将来差し切ってしまうような、迫力ある国際競争力など今やあろうはずがないのだ。悪いことは言わない、今の株主は「近いうちに」(?)全株処分することを勧める。