ようやく待望の、TPP交渉への参加表明。

 今夜20時ジャストに野田首相が官邸で記者会見し、菅前政権の昨年来、先の大震災も挟んで国民的議論になったTPP(Trans Pacific Partnership:環太平洋経済連携協定)への交渉の参加表明に踏み切った。この模様は日経CNBCのみだろうか、ライブで生中継されたが、他のNHKや民放各局はどうやら速報テロップを流しただけのようで、後刻21時22時のニュースで十分と踏んだのだろう。
 ただ、昨夜のニュース並びに今日の朝刊各紙で報じていた、昨日夕刻くらいに「GOサインか否か」を表明する手はずだったのが、1日先送りし今日にしたのはちょっといただけない。その辺は今日の毎日朝刊5面(総合)にある社説の通りだが、ともあれ首相は明日もうハワイ・ホノルルでのAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議に出席、米国をはじめ参加各国に今回の決定を報告して、事実上APECの場でTPP交渉スタートに踏み切る見通しだと判断して良かろう(!)。
 僕はTPPに関しては賛成……というより反対する理由が、農業(団体)と真逆で全くないのだ(!)。去年も1年近く前の11月20・30日の両日、読売朝刊の連載記事や日経朝刊マーケット総合面のコラム『大機小機』で取り上げられていたのを抜粋・要約・感想を綴ったが、もう一回ここに再掲したいくらい、考えの変化が全くない(!)。とにかく大多数の農家は、戦後以降長らく続いたかつての食管制度から現下の戸別所得補償制度、それに国際競争をシカトしたようなベラボウな高率関税のもと、相当、政府と世間に甘ったれるだけの存在に成り下がってしまっている。TPPに参加したら「安価な品の“空襲”で農業が壊滅する」「以前の中国の鶏インフルやギョウザ問題を見るまでもなく、食の安全が保てなくなる」「食料自給率低下で、有事の際の食糧供給が成されなくなる」等々と、よくもまあ次から次と、色々な既得権益死守的というか自己保身的な言い分が湧いて出てくるものである。
 そんなこともあってか、TPP参加に関しては殆どの政党が反対……それこそ民主以外、自民、公明、共産、社民、のみならず連立を組んでいる国民新まで反対、ばかりか民主内にまで“獅子身中の虫”、小泉語録を借りれば「抵抗勢力」が相当数いる。まあ農家なり農業団体も昔から大事な票田だったり、表向き弱者の味方を標榜していたりと、そういうことからしたら当然だろうが、そこには日本が天然資源も何もかもないといっていい、自分自身の力だけでは生きていけない貿易立国だという論点が無さ過ぎるのだ。
 明日の朝刊は軒並み1面トップ、かつ政治・経済・国際・社会の各面にも関連記事のオンパレードで、社説でも必ずお題になるオマケ付きだろうが、僕的に思うに朝日から日経までは濃淡はあれど「OK」ながら、相変わらず自民党寄りの筋金入りの右(いや、一昨年の総選挙で自民が敗れ、政権交代し下野したから“左”!?)である産経だけは「NG」表明だろうと想像する。明日明後日は久し振りの週休2日・土日休みとなったので、朝からじっくりウチの朝毎読と日経、そしてとっていない産経・東京も売店で買って読んでみたい。