昨日の住金の決算発表。

 先週10月26日の新日本製鉄に続き、昨日は住友金属工業の9月中間決算発表があったが、昨夕に14時35分配信の日経電子版で先に読んだものの、例の為替介入の考察で忙しく(?)取り上げて要約する暇がなかった(!)。
 売上高が微減の6922億円、経常利益が43%増の413億円、最終損益が前年同期348億円の黒字に対し323億円の赤字だった。売上微減はこの7〜9月期に自動車を中心に内需が回復したが、先の大震災直後の落ち込みが上回っていて補いきれなかった。経常増益は、生産合理化や鋼材値上げが思いのほか進んだことで、原材料高と円高の影響を吸収した。最終損益の前期黒からの赤転落は、新日鉄株等の評価損延べ800億円の計上が響いたといい、これは先日来言われていたことである。
 そして今期末の予想は、売上高が前期比8%増の1兆5200億円(従来予想比100億円減)、最終損益がトントン(前期が71億円の赤で従来予想比500億円減)で、損益は今回の評価損の反映だという。また、タイ洪水問題について新日鉄が「30万トン出荷減で50億の経常減益要因」というのに対して、住金は「この下期見通しに受注減として織り込んだが、まだ被害総額が見えていない」とした。
 こうして今日の日経朝刊17面(投資・財務3)左にやや小さく、鉄鋼大手4社の決算出揃いとの記事が出ていて、住金については“代名詞”とも言えるシームレスパイプ(継ぎ目なし鋼管)が資源開発需要を背景に、「これの値上げマイナス原料高、の引き算でプラス」と好調という。
 また、日刊工業新聞11面(鉄・非鉄・化学・素材)トップにも同様に出ていて、更に粗鋼生産量において上期が当初計画比9万トン減の611万トン、下期見通しも20万トン減の690万トン程度といい、こうなると今期通期で延べ1300万トンとなる。一般鋼材に需給緩和傾向が見られ、住金のみならず新日鉄その他も下期は粗鋼生産をセーブ気味にするとあった。なお、粗鋼生産量というと、日本鉄鋼連盟の見解では今年度予想を従来1億800万トン少々としていたのを、先月末に若干下方修正し1億760万トン程度と、800万ライン割れを示唆していた。
 いつだったか書いた、という以前に言うまでもないことだが、住金にはシームレスパイプという、新日鉄もJFEすらも追随を許さない大きなOnly Oneがある(!)。少なくとも、あと1年を切りジャスト11ヵ月後に迫った新日鉄との合併・新日鉄住金発足まで、どんな苦境があろうともシームレスがある限り乗り越えられよう。