鉄鉱石価格高は慢性化するか!?

 今日の日経朝刊9面(企業総合)に、ブラジルの資源大手ヴァーレによる鉄鉱石の年間生産能力の増強計画……4年後の15年に現在の3億2千万トンから2億トン超引き上げ、5億2200万トンに拡張する計画が2〜3年延び、目下最高値圏にある鉄鉱石価格の慢性化に繋がりかねないという記事が出ていた。その理由として、次の2つの時間がかかっているとしている……1.ブラジル国内での開発承認取得。鉱山拡張の際の環境面への影響を審査してもらう必要から 2.アフリカ・ギニアでの物流インフラ整備。これによって、向こう3〜5年は現状の1トン約170ドル(目下の1ドル76円として約1万3千円)の鉄鉱石価格が続こうとしていた。
 記事中、09年推定の鉄鉱石生産世界シェアの円グラフも出ていて(全体で9億700万トン)、1位がヴァーレの28%、2位が英豪リオ・ティント24%、3位が豪英BHPビリトンで15%、4位以下はすべて「その他」の範疇に括られていた。そしてかねてから取り上げているが、シェアは事実上これら3社の寡占状態である。
 そうした中、シェアトップの「世界王者」がそういう有様では、昨日取り上げた新日鉄・住金の業績回復の障害の一つとせざるを得ない。ばかりか、その15年に達成する計画が2〜3年延びるということは、早くても今から6年後の17年になってしまう……原材料価格に関して、最短でも向こう6年も“冬の時代”が続く(?)……そうなると、いよいよ1年チョイ後に迫った来秋発足する「新日鉄・住金合併新社」(My仮称)が余程のウルトラCを捻り出さない限り、業績向上ひいては株価上昇も望めないのだろうか……しかしその辺の苦しい事情は、鉄鋼世界王者のアルセロール・ミタルや韓国ポスコといった“宿敵”も同じのはずで、こうなったらまさに世界のどこが先にウルトラCを捻り出すかの勝負になりそうだ。