「東証が大証にTOB」朝日の続報&日経の後追い。

 昨日のその朝日のスクープは、結局僕的に言って「大山鳴動して何とやら」で終わりそうだ……と思っていたところへ、まず今日の朝日朝刊7面に、昨日の1面トップで書き足りないことがあったのか(?)続報が出ていた。しかしよく読むと、日経も含めた既報の内容もあったりして残念ながら新味に欠け、あまり続報とはいえない気がした。
 その点日経朝刊5面(経済1)トップでは、6月20日の読売でIFRSに関して抜かれた時の翌21日付同様、またその悔しさを晴らさんとする(?)追跡報道だった。そもそも東証大証の合併含みの経営統合は3月10日に日経がスクープしたニュースで、昨日はその統合形態のひとつを朝日がスクープしたわけだ。3月のその日は、たまたま朝日が「大証東京工業品取引所」の経営統合をスクープしたが、「東証大証」という日経のスクープに完璧に埋もれてしまった(!)。昨日の朝日はその時の鬱憤を晴らしたといえなくもない、とすれば天晴れと褒めるべきかもしれない(!)。
 日経では統合案に関して3つ挙げ、各々メリット&デメリットを解説していた。そのひとつに昨日の朝日のスクープも含まれていて、東証がリスクとする株主総会の特別決議(3分の2の賛成)が不要な反面、大証上場廃止に伴って新社「東証大証(仮名?)」の上場に時間がかかったり、事実上の東証の吸収による大証のメンタルダメージが強いとしている。
 大証としてはもうひとつの「東証株式交換によって合併。もちろん存続会社は大証」を望んでいて、「双方で株主総会を開けば即刻決定可能で、最もわかりやすい」といわれ、引き続き合併新社として上場維持される利点がある。しかし東証は当然のように難色……大証にイニシアティブを握られ云々という子供じみたこと以前に、東証が株式非公開企業なので、「裏口上場」といって非公開企業が公開企業との合併・統合でうまく上場審査をすり抜ける、という不正行為に当たりかねないというのだ。東証は今秋にも東証に上場する方針というが(!?)、その暁には大証こそ東証TOBを仕掛けたかろう。
 以上の2案は、各々東証なり大証が一方的にイニシアティブを握ることになってもう一方が面白くなく、ひいては計画がご破算になりかねない。そこで文字通り「第3の案」として東証がいわば第2希望で捻り出しているのが「上限付きTOB」……東証大証発行済み株式の66%までを買い取ることで大証上場廃止を回避、一方で大証を存続会社とする「逆さ合併」の形をとることで大証の顔も立てるという、双方の折衷案となっている。