企業の対ドル想定レート、未だ円安方向。
今日の日経朝刊3面(経済)トップに、今年度における主要輸出企業の想定為替レートで軒並み円ドルが1ドル80〜85円、円ユーロが1ユーロ110〜120円となっていることが日経の調べでわかったと出ていた。先週末の終値が1ドル81円70銭、1ユーロ115円70銭で、対ユーロはまちまちながら対ドルでは未だ期待も含めてなのか、円安に見積もってやまない姿が浮き彫りになっている。
記事中、電機、精密機器、機械・建設、薬品、化学、海運の6つの業種別に各々2〜3社のレートがリストアップされていたが、円ドルで一番キツく(?)見積もっていたのがニコンで80円フラット(ユーロは115円)、同様にユーロはパナソニック、三菱電機、エーザイで110円(ドルは各々83円、85円、85円)となっていた。なお対ユーロで化学と海運の各社は非公表、そして自動車は現時点でドル・ユーロ共に非公表につきリストアップ自体ない。
それにしても対ドルで未だ85円を見積もっている企業が多いのは、今時お粗末というか呆れる。リストでは東芝、三菱電機、リコー、キヤノン、武田薬品工業、エーザイ、三菱ケミカルHD、三井化学、日本郵船、商船三井の10社にのぼっていて、実際そういう日本企業が圧倒的多数である証のようだ。
なお、先日買った鉄鋼業界にまつわる本にあったが、新日鉄を筆頭とする各社は為替水準のみでは直接的にさほど業績に影響しないという。ドル建てでの製品輸出の収入と鉄鉱石等原材料の輸入コストが拮抗しているためだが、間接的には主要顧客である自動車や電機が目下のところあまり円高では困るので、今の円ドル水準では後々響くだろう。ただ、やはり原材料の輸入コストが抑えられるのが、鉄鋼業界にとっての円高メリットなのはどう考えても疑いない。円高は世界に君臨する資源メジャーの寡占状態に泣かされているところへの数少ない「助っ人」でもあるから、とりわけ投資家たる僕的には円高局面をどう逆手に取るかが問われていこう。