「草食投資家」が「インデックス投信」とは笑止千万!

 今日発行の日経ヴェリタス第153号(13〜19日)52・53面(スマートライフ)に、昨今「草食投資家」なる人種が増えていて、先行き不透明な時代なもので地道に「インデックス投資信託」に取り組んでいるという記事が出ていた。曰く……
 「数十年後を見据え堅実に利益確保」
 「ネットや交流会で投資家の輪を築く」
 「個別株投資は08年リーマンショックで大損し懲りた」
 結論からいえばこういったテアイは2つの意味で笑止千万である。まず「投資」と「投機」の意味が全くわかっていないか、両者をごっちゃに解釈していて、何れにせよそんな頭では資産運用などできっこないからだ。先日1月14日にも触れたが投信は所詮他人任せ、最終的に値上がり益さえ手にできればあとは知らぬ存ぜぬで、「堅実に云々…」と一見殊勝なことを信念にしているようでも結局キャピタルゲインオンリーでは「投機」に過ぎず、投信をポートフォリオに組むのはギャンブルの怖さを知らない愚か者である。
 特集の冒頭で、1月9日夜ににお台場で「インデックス投資ナイト」という個人投資家主催のトークイベントが催され、アラサーからアラフォーの世代を中心に120人が集い、館内に軽快なBGMが聞こえる中ディナーを囲んでパネリストの投資専門家の講義に聞き入っていたという。
 ここでもう一つのこととして、アラサー・アラフォーという僕と同年代ないし若干下の世代は、10代から成人の時分にバブル景気の恩恵というか“洗礼”というか(?)浴びたために、そんな中で何かと甘ったれては苦労の苦の字も知らずに生きてきた……僕が大阪時代勤めた松下電器(現パナソニック)でも情けないことにそうだったが、中には成人して就職しても親元で暮らす「ハイパー・スネかじり」もいたりし、自分1人では箸や布団の上げ下ろしすらできない輩が多いということだ。そして何かと群れたがって、自力本願や自己責任などといった言葉も知らないのだ。また、この世代から新聞・書籍を読まないという活字離れ世代でもあり、ヴェリタスに出ていた写真に写っている参加者を一瞥すると、まあ何かと情報収集をスマートフォン等を使ってネットだけで済ませ、(紙の)日経や株式新聞等々を読んでいる気配も『会社情報』や『四季報』をウチに備え付けている気配も微塵も感じられない。まあ仮に僕がそんな場にノコノコ出掛けて行って彼らと対峙しても、文字通りまずお話にもならないに決まっている。彼らに情報力と分析力を求めても、所詮無い袖は振れぬ無い物ねだりに過ぎないからだ。
 「投資」とは、なかんずく株式の場合は目を付けた企業の将来性を見抜き、その維持・発展を願いつつ買い出動・保有し、インカム(配当)なり「オマケ」ともいえる株主優待、そしてキャピタルゲインなかんずく含み益を享受することだ。そしてそれが真の資産形成なのであって、ジョージ・ソロスウォーレン・バフェットその他の名だたる「投資」家はみなそうであるはず、所詮「他人任せ投機」の投信であれだけの資産が築けたわけがなかろう。
 大体、投資というゼロサムゲームは優勝劣敗の厳しい弱肉強食の世界という一面もある。確かにソロスやバフェット達が弱者を食ったとまでは言いたくないが、ゼロサムゲームの掟である以上そういった要素があるのは否定しづらいから、別の言い方をすれば競争社会とか勝負の世界でいいだろう。そんな世界で他力本願的な「草食系」が生きていけるわけがなく、まさに肉食獣の餌食になるのがオチだ。