今日もそこかしこに新日鉄・住金の記事が……

 やはりウチでの新聞のとり過ぎの“弊害”か(??)……いやいや、そんなことは絶対にない!!……今日も読売を除く全紙朝刊で、引き続き新日本製鐵住友金属工業合併の続報なりコラムが散見された。
 まず朝日15面(経済)トップで、新日鉄とも住金とも提携関係がある神戸製鋼所は一体どう出るのか……少なくとも神鋼側は現時点では「(新日鉄・住金には)合流しない。アルミや建設機械の割合が高く、鉄鋼のみの依存ではない」との立場、独自路線を歩む意向だという記事が出ていた。かつて「鉄鋼大手5社」体制だったが、9年前の02年9月にNKK(日本鋼管)と川崎製鉄が統合しJFEホールディングスが発足、そして更なる再編機運が高まって機も熟した今回というわけで、残る神鋼が要注目なのは必然である。
 神鋼の前期(10年3月期)連結売上高の内訳が鉄鋼44%、アルミ・銅と建設機械・クレーンが各々同率の16%で、鉄鋼部門で新日鉄が79%、JFEが78%なのに対して低く、確かに会社側の言う通りだ。また、自動車用鋼板や線材、低コストの新型製鉄炉など独自の技術力を持つので、「ニッチ(隙間)市場での生き残りを模索したいのだろう」との見方があるという。要は合併・統合メリットよりも、つまり変に大きくなってフットワークが鈍る懸念を抱くよりも、何かと小回りの利く機動性を捨てたくないわけなのかもしれない。ただ一方で、目下粗鋼生産量で新日鉄にも差をつけられたJFEが、神鋼への“ラブコール”もあり得なくはないともしていた。
 次に毎日2面(総合)トップの囲み記事『追跡』でも新日鉄・住金・神鋼の「3つ巴」についてだったが、今回もし神鋼も加わったら、独占禁止法に引っかかって公正取引委員会の審査段階でアウトになる懸念を抱える品目があると出ていた。つまり別の事情があるというわけで、その品目とは1つには朝日にもチラッと出ていた(?)自動車等の線材がある。それだと「新日鉄・住金・神鋼」で国内はほぼ独占状態になってしまうといい、確かに法律名通り「禁止」だ(!)。今回とりわけ新日鉄は、昨年に日新製鋼への出資比率を現状の9.2%から引き上げたかったところへ公取委に事実上反対されたことから、今回の件で公取委にはまるで顔色をうかがうかのような注意を払っているという。
 そして日経本紙ではまず9面(企業総合)に、両社は先般公取委に合併審査を申し入れたが、海外展開の関係で今度は米・露・中・韓・南アなど約10カ国の独禁当局に合併審査の申請準備を始めたという記事が出ていた。日本の公取委のみならずグローバル展開先の各国にまで赴かなければならず、つくづく大変である(?)……ロシアでは新日鉄は鉄道用レールと鋼管、住金は鋼管などをそれぞれ販売していて、それら合算の販売量や売上高が一定水準を越えると申請義務が生じるという。まあ今後は各国の独禁法的法規や品目別市場規模並びに両社と他社のシェア等々を調べ上げ、申請・審査が不要な面があれば要らぬ手間や心配を省きたい思惑があるようだ。
 また、17面(マーケット総合2)にある例の人気コラム『大機小機』では「合併に期待」と銘打って、八幡と富士が合併して新日鉄ができた40年前当時とは産業界を取り巻く環境が全く違うので、独禁当局の前向きな判断が欲しいとして事実上の容認要請的論調で締めくくっていた。