さらば、労働者派遣法改正…ということか。

 今日の毎日朝刊5面(政策・総合)トップに、もう案の定と言っていいか、政府・与党が労働者派遣法改正案を今臨時国会でもお流れにし、またまた継続審議にするという記事が出ていた。来年の通常国会に持ち越しと言うが、最早ここまで来れば事実上の廃案と言って良かろう。それは、タダでさえ衆参ねじれ国会につき参院での否決が目に見えているのに加え、昨今の1ドル80円近辺にまでなる円高で、今派遣法改正が可決すれば企業の海外移転のいい口実がまた一つ増え雇用不安が増すという、連立当初から賛成の社民党並びに自民・公明両党などとは逆の意味で反対の共産党以外の野党各党の主張に、暗に押し切られた格好かもしれないと思うからだ。
 しかしいずれにせよ情けないと思うのは、あの「派遣切り旋風」から丸2年経ち、政官業が寄ってたかっても未だ解決策・再発防止策を見出せていない点である。僕らより頭いい筈なのに、偉い筈なのに……なぜ? その頭脳明晰さとsocial statusは、未だ信奉者がいるみたいで摩訶不思議千万な松下幸之助の稚拙な思想よろしく、単なるマヤカシかハッタリか!?
 まあ確かに春先にも言ったことだが(4月16日)、ハケンになって苦しむのは、一つにはハケンになった者自身の責任とも言える。新聞(但し朝日や日経等であって、それら抜きでスポーツ紙や夕刊紙はあまり褒められたものではなかろう)・雑誌(但し新潮や文春、東洋経済、ダイヤモンド、日経ビジネス辺りであって、決して少年ジャンプ等ではない)・テレビニュースを一切シカトし、読書等の自己研鑽も一切しないから愛読書などあろう筈もない、さりとて文字に触れているといってもネットやメールのみ、という輩が派遣切りにあってもそれこそシカトすれば良かろう。今の主要国や企業その他様々な組織のトップの顔や名前も知らないとか、各種相場(円対ドル・ユーロ等の為替、日経平均NYダウ原油等々)の水準も把握していないとかましてや話題にもしないとか、日記・ブログにもつけないとかいった輩が失業しても、今も旧松下電器(現パナソニック)のような企業に勤めつつ僕のような弱い“新聞読み”に陰口叩いてせせら笑って憚らない、バカながら強い連中が殆どなので何ら心配無用の筈だ。
 しかし、何ら解決策も見出さないばかりかそれにつけこむ、とりわけ経済3団体を筆頭とする「業」にも、一度ハケンを使い捨てにするウマミを知ってしまってそれが忘れられないのか、始末に負えず困ったものである。反共一辺倒で幾ら何でも硬直的過ぎるのか、「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」の子供じみた例え通り小林多喜二蟹工船』を読みもしないから、人間の尊厳もシカトして憚らないし人権蹂躙も厭わない。大体、昨今のハイパー円高だから猫も杓子も拠点の海外移転と、四半世紀前のプラザ合意後の円高不況時と同様のことしか、思い付きが子供以下に過ぎないことしかままならないとは、最早遺憾を通り越して笑止千万だ。また、残念ながら最近それらに足を向けて寝ないようにしたという政権与党も然りである。