原油高傾向が唯一のデフレ解消期待か?

 今日の日経朝刊26面(商品)トップに、中東ドバイ原油……国際指標でもあるNY先物市場のWTI(West Texas Intermidiate)の12月物中心値が1バレル81.75ドルと5ヵ月振りの高値になり、今後冬場の需要期入りを見据えながら石油製品の価格上昇圧力が増すだろうという記事が出ていた。加えて日銀が追加金融緩和を打ち出し、追って米国も追随するという観測からのドル安傾向が背景にあって、ドル建てでの取引による原油割安感も出てきたのだという。ただ米国の原油・石油製品在庫は依然として高水準、先月時点で合わせて18億6500万バレルと過去最高から0.3%減にとどまっているので、一旦調整局面入りすると見る向きもあるようだ。
 まあただ如何せんこの円高である。今日も今日とて20時半時点で80銭も円高ドル安の1ドル82円30銭にまでなっており、9月15日の介入による円安分がなくなったのみならず更に高値……だからこれも15年振りの水準なんだろう。原油高傾向が唯一のデフレ脱却期待とは情けないと以前も書いた覚えがあるが、しばらく「原油高VS円高」の攻防が続くようだ。
 しかし通常なら原油高はインフレ懸念として嫌がられるんだが、目下インフレという言葉自体がノスタルジックで懐かしいくらい、日本のみならず世界的に「デフレ病」の様相なので、そう簡単に原油高が「治療薬」にはなるまい。いや、それでも、もしこの傾向が持続し、何かの拍子に円安に振れたら日本経済は大逆転のデフレ脱却につながるか…?
 ただ原油といえば、何だかんだあってもやはり注目すべきはOPEC(Organization of the Petroleum Exporting Countries:石油輸出国機構)の動向だ。記事にはなかったが、OPEC諸国は軒並み減産で一致結束しているようであるものの、一旦増産を企てる抜け駆け者が現れ、タガが外れればどうなるかが重大な関心事だ。