「円高傾向再開」を説く日経産業の一コラム。

 今日の日経産業新聞最終22面の、先日も取り上げた例の小コラム「眼光紙背」で、15日に6年半振りに為替介入してひとまず円高一服になったものの、早晩またぞろ円高傾向復活、95年春の史上最高値1ドル79円75銭突破の可能性も大きいとまとめられていた。
 「日本も一員であるG7が中国人民元の硬直的為替政策を批判……だからあまり介入すると後で『じゃあお宅は?』と中国になじられる」
 「外貨準備高の巨額含み損……8月18日付日経朝刊の既報通り」
 「米国の景気底割れや欧州周辺国のソブリンリスク(政府債務の信認危機)への懸念の高まり」
 そういったことが根拠として挙げられていた。確かに今日の東京市場で1ドル85円台半ば辺りとはいえ、急激ではないジリジリといった感じで反転しており、またまた知らない間に、気づいた時には介入効果が消えて元の木阿弥になっていないとも限らない。
 ただ唯一気をつけるべきは、円に対して他の各国通貨から緊急避難的買いが押し寄せている…ということは「災害復興」が完了すれば、円という名の「仮設住宅」「避難先」から自ら退去して行くこともあるということだ。今の日本経済という「避難先」も決して居心地がいい方ではなかろう。そうなったら今回のような介入不要で勝手に円安が進むのは自明の理だ。